《0157》 「病気」よりも「事故」が怖い [未分類]

タレントの谷啓さんが自宅で転倒され、帰らぬ人になりました。
私自身も、転倒で命を落とした方を何人も見てきました。
意外かもしれませんが「病気」より転倒という「事故」の方が怖いのです。

在宅患者さんには、毎回、口を酸っぱくして言っています。
「絶対に転ばないでね!」と。
祈るように。
時には、実際に転倒する演技をしながら。

「在宅医療になるくらい歳をとったので、ここまで来れました」
「在宅患者になる前に、突然死した人もいくらでもいますよ」
「それくらい大きな病気がなかったということは幸せなこと」。

あと、怖いのは、一つだけ。
それは「転倒」。

夜中のトイレの後に、一番気をつけて!
繰り返し繰り返し、そう言っても、毎日、誰かが転倒しています。

大腿骨頚部骨折や腰椎圧迫骨折。
入院して、寝たきりになって、認知症が出て自宅に戻れない人も
沢山見てきました。

「転倒」が縁の切れ目。
「転倒予防教室」を開いても、来られるのは、転倒リスクの少ない人。
本当に転倒しそうな人は、とても会場まで来れない、という現実。

分かっちゃいるけど転んでしまう、のが人間の自然な姿なのか?
私自身も、小さな段差につまずいたり、階段を踏み外すことがあります。
自分自身で、年齢を最も感じる瞬間です。

「足から老いる」とは、よく言ったものです。
谷啓さんのニュースは、皮肉なことに老人さんにきっかけを与えました。
急遽、転倒防止の棒や手すりを依頼する在宅患者さんが出てきました。
私も、この機会に転倒予防を、改めて呼びかけて回っています。