先週末、滋賀県大津市医師会の講演会に呼ばれました。
実は滋賀県で講演させていただくのは、今年3回目です。
たしか大津で2回、瀬田で1回だったと記憶しています。
いずれも大津市医師会の前会長先生や現会長先生はじめ
多くのボランティアスタッフに大変お世話になりました。
なにせ同じ演者を3回も呼ぶのですから半端ではありません。
頂いた名刺を見ると「公益社団法人大津市医師会」とありました。
この「公益」という2文字を見た時に、たいへん驚きました。
おそらく多くの医師会は、一般社団法人だと思うからです。
平成24年から公益法人になったそうです。
ちなみに尼崎市医師会は一般社団法人だし
滋賀県医師会も一般社団法人です。
公益法人と社団法人は似ているように思うかもしれませんがかなり違います。
公益法人とは一般市民のための会社です。
社団法人とは医師のための会社です。
公益法人になるには内閣府のとても厳しい審査があり、簡単にはなれません。
なぜそんなことを知っているのかといえば、一般社団法人・日本尊厳死協会
は、この春までに、公益法人申請をしてきたからです。
しかしまさに土壇場で、認可を却下された苦い体験をしたからです。
厳しい諸条件はすべてクリアしていましたが最後の最後、ギリギリに
なってから内閣府から「不認可」の通知が届いた時には愕然としました。
事の顛末は、7月22日の朝日新聞の社説でも解説されていましたので
ご興味のある方は、ゆっくり読んでみてください。
http://www.drnagao.com/img/media/asahi20140722.pdf
そんなこともあって、公益法人になることは大変だと思っていました。
しかし、公益法人になった(なれた)医師会があることに驚きました。
大津市医師会は公益法人になる前から市民講座をやっていたそうです。
当初は、公民館などで様々な講演会などの啓発事業をされてきたと。
今回、私の講演会のチラシやポスターを見ただけでも、度肝を抜かれました。
本のタイトルが、そのまま講演のタイトルになっていたのです。
医師会とは、普通、かなりお堅いところです。
しかしド派手なポスターを2000枚も造りあちこちに貼ってくれたそうです。
そして当日のパンフレットのド派手な表紙にも驚きました。
会場は満員で、60~70人が入りきれずに帰られたと聞き、
本当に申し訳ないことをしたと思いました。
しかしそんな感激のなか2時間、とても力のこもった講演をしたつもりです。
共著者の丸尾多重子さんにも無理を言って、来ていただき登壇もしていただきました。
認知症の本を書いた2人にとりこれ以上は無いという舞台を与えられたのです。
多くの市民の方には本当に熱心に聞いて下さり、感謝の想いでいっぱいでした。
医師会こそが認知症や死生観に関する講演会を開催すべきだとこれまで何度も
医療系専門誌に書いてきましたが、本当にそれを実行している医師会があった。
市民のニーズに身を呈して、ボランティア精神満載で応えてられていたのです。
こんな私を3回も呼んでいただく理由が、やっと分かりました。
こんな医師会もあることを知っていただきたく、書きました。
私にとって生涯忘れられない講演会になることでしょう。
……嘘です。
きっと認知症になればいつか忘れてしまうでしょう。
でも最期まで記憶に残る可能性が高い、と思います。