先週の日曜日は、大阪市高石市で地域包括ケアを考える市民講座が
開催され、講演をさせていただきました。
「住み慣れた高石で最期まで暮らす」というテーマで話しました。
高石市は大阪の堺市の南に位置するベッドタウン、人口6万人弱の町。
半分は工場用地で、海に面しています。
市民病院が無いことも特徴です。
一方「ライフサポートセンター」という立派な複合施設があります。
そこで予防事業や検診センターや訪問介護・看護等をやっています。
また休日診療センターや老人保健施設等もあります。
シンポジウムでは、高石市長と高石市医師会長と厚労省の保険局長さん
と不肖・私が登壇して、高石の地域包括ケアについて語りあいました。
厚生労働副大臣や近隣の市長、町長さんも来られていました。
なんと800人もの市民が聞きにこられていました。
3時間にもわたって熱心に聴講され、市民の意識の高さを感じました。
この市民公開講座が成功した要因を考えてみました。
ひとつは、市長さんと医師会長さんがしっかりタッグを組んで
一生懸命に旗を振っていることです。
首長さんと医師会長さんの協力なしでは、地域包括ケアは成功しません。
ちなみに、そこに副大臣や厚労省の保険局長さんまで加わる催しなんて
人口6万人の市にしては(失礼!)、ちょっと凄すぎませんか。
この日、私は「高石の奇跡」という言葉が浮かびました。
もう1点は、高石市に市民病院が無いことです。
大きな病院が無いので、逆にしっかり予防や在宅療養で備えよう
という市民の意識が高まるのではないかと思いました。
北海道の夕張市は財政破綻して市民病院が無くなったことで
市民の意識が変わり、医療費が低下したそうです。
病院の文化が、地域包括ケアの文化に変わったためでしょう。
地域包括ケアとは、住み慣れた地域が病院という考え方です。
まだまだ実態は見えてきませんが、大病院信仰だけでは今後の
高齢者医療は立ち行かなくなることは誰の目にも明らかです。
拙書「『大病院信仰』どこまで続けますか」にも書きましたが、
往診もしてくれるかかりつけ医を見つけておくことが大切です。
昨日の記事同様、医師会はこうした啓発事業も大切な仕事です。
2日間、医師会主催の地域包括ケアの講演会について書きましたが、
日本全国でこのような催しが毎週のように開催され、招かれています。
しかし私自身は、そろそろ外に出るのは控えようと思っています。