《1632》 おひとりさまの老後と最期 [未分類]

この日曜日、奈良で(社)日本尊厳死協会関西支部の講演会
が開催され、上野千鶴子さんが講演されました。
テーマは「おひとりさまの最期」です。

定員1200人のところ、事前の申し込みで満員になりました。
多くの方をお断りしなければならないような人気の高さでした。
上野さんが発信される「おひとりさま」の時代だと感じました。

聴衆の8~9割が女性と、いつもより女性の割合が高かった。
女性の方がおひとりさまに関心があるのか?
上野さんのファンが女性優位なのか?

たしかに女性のほうが、おひとりさまになる確率が断然高い。
人生、男性80年、女性87年ですから。
そして結婚した夫婦は、女性のほうが若い場合が多い。

どうやっても「おひとりさまは女性の問題」だと再認識しました。
私が在宅で診ているおひとりさまも、半数以上が女性です。
しかし男性のおひとりさまも、在宅現場ではたくさんいます。

女性は、施設に入るように進められるケースが多いように、個人的に思います。
そしてその後も、わりとスムーズに集団生活に順応されます。
一方、男性は結構、在宅にしがみついているような気がします。

いずれにせよ、介護保険を上手に使い、住み慣れた地域で暮らせる
例を、全国での取り組み、先進事例をもとに話されました。
上野さんは、おひとりさまの著書を何冊も出されています。

懇談会では、おひとりさまの女性からの質問が相次ぎました。
50歳代、つまり団塊の世代より若い世代は不安を語りました。
「おひとりさまは、どうやって生き抜くことができるのか……」

つまり、お金の不安です。
現在の就労と将来の年金などに対する不安が高まっています。
よく聞くと、30、40歳代の女性も同様の不安を抱えていました。

こうした生の声を聞きながら、消費税増税分をしっかり社会保障に
使ってほしいと思いましたし、上野さんも強くそう言われました。
おひとりさまに対応できる社会にできるかどうか。

課題山積だと感じました。
上野さんは、政治の課題についてもかなり触れられました。
おひとりさまを「標準」とする社会を目指すべきだと思いました。

そして「おひとりさまの認知症」です。
ボケても住み続けられる街づくりに取り組む必要があります。
これは地域の住民、一人ひとりの意識と深く関係するでしょう。

PS)

週末、和歌山、奈良と周遊しながら、いろんな方と意見交換しました。
尼崎駅まであと5分というところで、携帯電話が鳴りました。
偶然ですが、ちょうど帰ってきたところで、お看取りがありました。