《0168》 どう解決する?勤務医の過重労働 [未分類]

勤務医の過重労働を、どうしたら解決できるのでしょうか?
大変難しい命題ですが、現在、私なりに考えていることを書きます。

単純に医師数を増やせば、解決できるのでしょうか?
私の答えは、NO、です。

臓器別に分化し過ぎた医療区別を、再編する作業が必要だと思います。
昔は、内科、外科だったのが、内科であれば、循環器科、消化器科、
神経内科、血液内科……という風に細分化してきています。

消化器の中でも、食道、胃、大腸、膵臓、肝臓などに細分化しています。
どこまで細分化するのか。

医学研究のための細分化と診療区分の細分化を分けて考えるべきでは。
外科も腹部外科、心臓外科、乳腺外科などに細分化しています。
整形外科も、腰、膝、肩と、部位別に細分化。
眼科も、網膜、角膜、ぶどう膜と細分化、しています。

医療の細分化が進むと、医師の専門分化も進み、当然、
必要な医師数は何倍にも膨れてきます。

もし、内科なら内科全般を総合的に診れる医師がいれば助かります。
外来患者さんの大半は、プライマリケア医といって、総合医のような
「ある範囲内は何でも診る医師」で、対応可能であるという意見もあります。

現在の医師が、守備範囲を少し広げるだけでも、医師需要は減ります。
ということは、医学教育から考え直す作業となります。
実際、先進的な病院では、そのような研修も行われています。
数年後には、その芽が出るかもしれません。

次に、医師の雑用を軽減することです。
メデイカルクラークと呼ばれる医療秘書の充実を図ることで、
かなりの事務的な雑用から解放されます。

欧米の医療は、そうなっているそうです。
もちろん、それには予算を付ける必要があります。
しかし現在の経済状況では、大変厳しそうです。

さらに、診療科別、地域別に見ると、医師は偏在しています。
産科・小児科・外科など、生死に関わる診療科は敬遠されがち。
また、都会に集まり過ぎる傾向もあるように思います。

さらに、コンビニ受診に代表される多様化する患者さんのニーズに
対応するためにも、医師の需要は増える一方です。
その解決策としては、「医療の集約化」もやむを得ません。

また、包括制の病院では、1人の受け持ち患者さんの重みは、
昔の2~3人に相当します。
1~2週間で退院させなければならないので、密度が濃くなるのです。

これらの原因一つひとつに、皆で改善策を練る必要があります。
難しい問題ですが、医師数増加の前に考えるべき課題は山積です。
医療者と国民が、知恵を出し合い議論する時期だと思います。