《1687》 微熱だけのインフルエンザ [未分類]

町医者のもとには毎日、風邪ひきの方が沢山来られます。
熱がある、鼻水が出る、咳が出るなど多彩な症状を訴えます。
寝ていれば治るのですが、みなさん必ずお薬を希望されます。

そんな中、昨日微熱で初診された若者がおられました。
微熱とだるさを訴えていますが、どこにでもある症状。
発熱は最高で37.2度とたいしたことはありません。

しかし看護師さんにインフルエンザの検査を頼みました。
案の定、今年5人目のA型インフルエンザ陽性者でした。
実は今年、インフルの検査を指示したのは初めてでした。

では、あとの4人とは……? 当院の他の医師が診察した患者さんです。
私自身は今年はまだインフルを診たことがなかったのです。
ところで、どうして微熱の人にインフルの検査をしたのか?

それは独特の目つきをしていたからです。
インフル特有の、ウルウルした目。
インフル独特の顔貌があることを経験で知っています。

20年町医者をやっていると、さすがに勘が鍛えられます。
いやでも直感力がつきます。
かくして、今冬1発目の検査を指示し、見事に陽性でした。

慌てて、患者さんの喉の奥を懐中電灯で見せていただきました。
インフルでは喉の奥に小さな水疱があるという論文を読んだからです。
たしかに、その患者さんの喉の左側には小さな水疱がありました!

微熱しかない風邪症状の患者さんを、一発でインフルと診断できて
なんだか、嬉しいような気分でした。
イナビル点鼻薬と咳止め薬を処方し、5日間の安静加療を指示しました。