《1698》 マスクの2つの意味 [未分類]

町医者の外来は風邪やインフルの人でごった返しています。
診察室では思いっきり咳や痰をかけられることがあります。
そのためにマスクという、たいへん便利なものがあります。

室内ならいざ知らず、町なかを歩く人も多くがマスクをしている。
マスクをつけてランニングしている人もいました。
果たしてマスクは感染症予防にどの程度有効なのでしょうか?

市販のマスクには不織布タイプとガーゼタイプがあるそうです。
不織布は繊維を織らず熱などで固めた薄い布で、通気性が良く、
紙オムツや生理用品の素材として使われてきたものです。

不規則な編み目がウイルスや花粉を捕まえるのに適していますが、
マスクにも利用され、現在ではこのタイプのマスクが主流です。
マスクを着けていれば感染リスクを確実に下げることはできます。

インフルエンザウイルスの大きさは約0.1マイクロメートルで
飛沫するのは約5マイクロメートルだそうです。
一方、市販マスクの多くは0.1~5マイクロメートル。

これらの粒子をどれだけ捕集できるかのテストを行った結果、
マスクは飛沫をもほぼ通さないということになっています。
しかしマスクを着けていても横の隙間からウイルスは入ってきます。

花粉症の人は、そんな経験をされているでしょう。
ダラダラ着けているうちに、ついつい隙間ができてしまう。
ただし、マスクにはウイルスを捕らえる以外の働きもあります。

マスクを着けることで鼻や喉の湿度が保たれて、粘膜を
滑らかな状態にしておけるという効果も期待できるのです。
確かに、マスクをずっとしておきたいという時があります。

しかし、四六時中マスクをしているのも普通は辛いものです。
電車やバスの中、狭い室内のように、せきやくしゃみをする人との距離が
近い環境ではウイルスを吸い込む恐れが強いので、マスクは有効です。

しかし人との距離が遠い屋外ではマスクを着ける必要はありません。
なんとなく着けて歩いている、という人もいるでしょう。
あるいは、不安だから常につけているという人も。

マスクは、自分が感染しないために役立つだけでなく、
感染を広げるのを防ぐことにも大きな効果があります。

感染した人自身がマスクをすれば、空気中に浮遊するウイルスの量を
減らせるので、家の中で一緒に生活する家族のためにも、
患者さんは積極的にマスクを着ける意義はあります。

いわゆる「エチケット・マスク」です。
インフルエンザの場合、ウイルスの量が人にうつさないレベルにまで
減るのに、発症後1週間程度はかかるそうです。

最近は抗インフルエンザ薬が普及して早く熱が下がるので、
すぐに外出する人もいますが、発熱から1週間ぐらいを目安に
マスクをしていれば、他の人にうつす危険性を減らせます。

マスクは、自分のためでもあり、周囲の人のためでもあります。
2つの役割を意識して着けるべきでしょう。