《0170》 診療所に看護師さんが来ないんです [未分類]

「看護師さんを紹介してくれないか」と、開業医仲間からよく頼まれます。
確かに町の診療所には、看護師さんの確保は大変困難な現状です。
今日は、看護師さんをめぐる状況を考えてみましょう。

大学病院などの大きな病院では、手厚い看護師さんの配置が
義務づけられています。
高度医療や充分な安全確保に、しっかり対応するためです。

患者さん対看護師さんの数の比率で医療が区分されています。
7対1看護や5対1看護といった風に、多くの看護師が集められています。
それだけでも、町の看護師さんが大量に病院に流れました。

看護師さんは、女性が多く、結婚や出産のための離職もあります。
それは、女医さんも同じことですが。
せっかく免許を取っても、完全に離職してしまうのは勿体ない。
そこで、復職のための看護研修が行われているそうです。

しかし、日進月歩の医療現場に戻るのはハードルが高いと感じる
看護師さんも多いと想像します。

一方、看護大学に進む看護師さんも増えました。
以前は、准看護師と正看護師という区分でしたが、最近は、
看護大学出身看護師とそれ以外といった印象です。

とにかく、町の診療所には看護師さんがあまり来ません。
人気がないのです。
結婚相手を探す場としても、診療所は、魅力薄なのでしょうか。

さらに人材が枯渇している職場が、「訪問看護ステーション」です。
本来、在宅医療の主役は、訪問看護師なのですが……。

訪問看護は、看護の中では、まだまだマイナーな領域です。
全国の市町村の半数は、まだ訪問看護ステーションがないそうです。

不人気の最大の理由は、24時間対応の携帯電話です。
結構なストレスで、夜中の対応で旦那さんに怒られることもあるとか……。

せっかく訪問看護という看護の原点ともいえる魅力ある世界に入職しても、
バーンアウトなどで、病院に戻る看護師が多いのです。
かくして、どのステーションも慢性的な人手不足に喘いでいます。

訪問看護は、2000年まではすべて医療保険でした。
しかし、2000年に介護保険制度下になってから、訪問看護を行うには
医師とケアマネの二重の指示が必要になりました。

詳しいことは、別の機会に書きますが、こうした制度の複雑性も、
訪問看護の不人気の原因の一つだと思います。
何はともあれ、看護師さん、町の診療所も一度見学に来てくださーい!