《1735》 もし自分の親だったら…… [未分類]

昨朝、某テレビ局の報道番組に1時間強、生出演していました。
テーマは「がん医療とQOL(生活の質)」。
もしかしたら偶然ご覧になった方もいらしゃるかもしれません。

がんを患われた芸能人や司会者が、ご自身の体験を話されました。
司会者に突然「長尾先生は、自分ががんになったらどうしますか?」
と振られましたが、慌てて上手に応えることができませんでした。

お伝えしたいことの、1%いや0.1%くらいしか伝えられない
のがテレビの生放送なのだ、とあらためて思い知らされました。
また機会があればテレビ画面からもメッセージを送らせていただきます。

実はこの「自分だったら」という問いかけは、患者さんには非常に有用です。
受ける医療の選択肢が多い時には、信頼するかかりつけ医に勇気を出して
「もし自分だったらどうしますか?」と聞いてみてはどうでしょう。

あるいは、「もし先生の親だったら」「奥さんだったら」でもいいです。
実は医者もそう聞かれたほうが、本音を伝えやすいのです。
というのも、医療者はガイドライン医療に縛られているのが現状です。

「ガイドライン」なんて、どうでもいいじゃないか。
患者さんはそう思うかもしれません。
しかし現代医療は、医学会の出したガイドラインに縛られているのです。

もしガイドラインから外れた医療を行って失敗した場合、訴えられたら
医者は負ける可能性が十分あるのです。
「あなたはガイドラインから外れた治療を行ったから失敗したんだ」と。

がんの場合なら、標準治療に置き換えてもいいでしょう。
標準治療がなんだか悪のように言われていますが、医者はそれに
従わざるを得ない環境に置かれていることも知っておいてください。