毎日毎日、認知症の相談が舞い込みます。
- 医療機関に連れていけない
- 風呂に入らないので臭い
- 徘徊して警察のお世話になった
- 施設に入れたいがどこがいいのか……
本当に大変な時代になったものだと思います。
30年前に医者になった時は、想像もしなかった。
しかし現実として大きな問題になっています。
そもそも、認知症は増えているのでしょうか?
認知症は30年前から始まっていると言われます。
であれば、私が医者になった頃から起きたことが
今頃になって顕在化した、と言うべきでしょうか。
世界一長く生きるから、もあるでしょう。
歳を取ると認知機能が落ちるのは当たり前。
そう考えると、若い認知症ほど問題は大きくなります。
3月初旬といえば、毎年「かいご学会」の季節です。
か = 介護
い = 医療
ご = ご近所
10年前は、か・い・ごも家族ケアも、意味が全く分かりませんでした。
しかし、この「かいご学会」でいろんなことを学ばせていただきました。
この学会と、「つどい場さくらちゃん」のみなさまのお陰です。
今年は、「全国コミュニティライフサポートセンター(CLC)」や
社会福祉協議会との共催で、大きな研究会(にしのみやフォーラム)
の一分科会として「かいご学会」が開催されます。
http://www.drnagao.com/img/lecture/ninshisyo20150307.pdf
3月7日(土)の午前中、西宮市民会館での開催です。
最初に「毎日がアルツハイマー2」という映画が上映されます。
関口祐加監督の作品です。
私も昨年観ましたが、とても勉強になる名作です。
その後、「治さなくてよい認知症」を書かれた精神科医の上田諭先生、
関口監督、つどい場代表の丸尾多重子さんと私のトークもあります。
一回限りの豪華な顔合わせの、楽しいイベントになることでしょう。
認知症介護で悩んでいる方、あるいは医療介護関係者も
どなたでも参加できますので、お気軽に遊びに来てください。
CLCの他のプログラムや懇親会など、盛り沢山です。
昨日は、3人のお看取りがありました。
それぞれが長編映画のように長く、壮大な物語でした。
ただこの歳になると、寝ずに仕事を続けることは辛いものです。
明日は東京大学で、東大医学部の学生と「死の授業」をします。
東大の医学生が「死」をどう考えているのか、たいへん楽しみです。
詳しくは「長尾和宏の死の授業」という近著をご覧ください。
チリの14歳の難病少女が、安楽死を大統領に求めたという
動画やニュースが、世界中を駆け巡りました。
たしかに欧米は「認知症の安楽死」という方向に向かっています。
しかし、南米のチリで、しかも14歳という若さの人から
このような発信がなされたこと自体に驚きました。
プリタニーさんに続き、こうした話題をどう受け止めたらいいのか。
大切なことは、死をタブー視せずにみんなで考えることでしょう。
自由に議論することでしょう。
超高齢・多死社会、認知症社会は、「死」を抜きにして議論できないからです。