《1779》 死に際の抱擁 [未分類]

先日、在宅でお看取りしたじいちゃんの話です。
徐々に衰弱して寝たきりになってしまいました。
昼間でもウトウト寝ている時間が長くなりました。

しかし私が行くと、じいちゃんはパチッと目を覚まして
「会いたかったー!」と喜んでくれました。
家族は、エーと驚いていました。

そして両手で私の顔を持って、自分の顔に近づけました。
なんと強い力で抱擁されたのです。
じいちゃんと私のほっぺたが20秒間位、触れあいました。

「これでもう、いつ死んでもいい」と笑顔で言われました。

果たしてその翌日、じいちゃんは穏やかに旅立たれました。
駆けつけると、初めてみるたくさんの家族も集まっていました。
聞くと、少し前までご飯も食べていたとのこと。

そして遠くの親戚とも一人ひとり抱きしめて、抱擁もしたそうです。
私だけではなく、来てくれた全員に頬ずりをやっていたのです。
それをやらなかったのは、なぜかずっと介護していた娘さんだけ。

死に際の抱擁。

知り合いの岡原仁志先生の「ハグ」を思い出しました。
ハグは元気な時だけでなく、死に際にもするものであることを
じいちゃんに教えてもらいました。

じいちゃんの笑顔と頬のぬくもりが、今もしっかり残っています。