Q. がんと診断されてから、突然自分の食生活を振り返り、反省する人がたくさんいると思います。がん予防の食事、がんが消えてなくなる食事といった本もたくさん出ていますが、長尾先生の直観として、がんと食生活はどれくらい関係していると思われますか?
また、
- 肉の食べ過ぎ → 大腸がんリスク
- 乳製品の摂り過ぎ → 乳癌リスク
- 熱いもの → 食道がん
などと言われていますが、食事とがんの関係は、実際どこまで解明できているのでしょうか? 暴飲暴食を避け、粗食を続けていれば、がんリスクは本当に減りますか? また、実際に患者さんを診ていて、食事とがん罹患率にこんな傾向があるのでは……と思うところがあれば教えてください。
壮大なテーマですから、敢えて簡潔に答えてみます。
がんと食事は、もの凄く関係すると思います。
思いつくまま書きだしてみると、
- 塩分が多い → 胃がん
- 肉が多い → 大腸がん、膵臓がん、前立腺がん
- 酒が好き → 食道がん、咽頭がん、肝臓がん
- スイーツ好き → 乳がん (これは個人的印象)
「がんは食事で予防できる」という趣旨の本を見かけますが、本当です。
食事内容とがんの因果関係に関しては、膨大なエビデンスがあります。
> 暴飲暴食を避け、粗食を続けていれば、がんリスクは本当に減りますか?
本当に減る、圧倒的に減ると思います。
バランスの良い少食を心がけてください。
食事だけでがんを治せるとは思いませんが、
食事だけでかなりのがんを予防できると思います。
あとは運動(歩行)です。
それに睡眠や休息などを加えた、いわゆるライフスタイルが重要です。
ついでに言うならばタバコが、食事と並ぶ重大要因です。
某人気歌手が最近、喉頭がんで声を失いましたが、タバコが原因かと思います。
つまり、がんは生活習慣病の部分がとても大きい。
誰でも知っているような事実ですが、がんになって初めて分かるのがこの言葉です。
食事以外には、年齢という要因も大きいかと思います。
あと遺伝という要因もありますが、ライフスタイルである程度是正できると思います。
メタボ検診制度が実施されるようになり、はや数年が経過しました。
これは私自身は、がん予防検診であり、認知症予防検診であると理解しています。
ちなみに、食事も運動もライフスタイルも、私自身は口ばかりで全然実行できていません。
だからそろそろヤバイかな? と心のどこかで思っています。