《1821》 病院によって使用する抗がん剤の種類は違ってくる? [未分類]

がん医療、ここが分からないシリーズ・14

病院によって使用する抗がん剤の種類は違ってくる?

Q. 同じがんであっても、病院によって使用する抗がん剤の種類に差があるのですか?

新しく認可された薬のほうが、なんとなく効果がありそうに思えますが、たとえば、未だに胃がんや大腸がんで、古い抗がん剤の代表格である5-FUを使用している病院もありますよね?

医師はどのような基準で数種類ある抗がん剤の中から特定のものを選択して、患者さんに勧めているのでしょうか?

A. 各医学会が示した標準治療というものに準拠して行われているのだと思います。
   普通は保険適応になっているはずです。

   科学的根拠(エビデンス)に基づいて、時代とともに標準治療は変わっていきます。
   そして標準治療は唯一無二という示し方ではなく、選択肢と捉えたほうがいいかも。

   具体的には、Aという方法もいいけど、Bもいいし、Cでもいい、という場合がある。
   ましてセカンドライン(次善の策)には、複数の選択肢があることが普通です。

   ですから病院によって、使う薬剤が違うことは十分あり得ます。

   さらに、Aという薬がいいよ、との噂になって1~2年後に保険適応になったとしましょう。
   よく考えると、その1~2年前には、標準治療ではない治療法をやっていたことになります。

   薬の普及にはどうしても時間がかかります。
   年単位と思っていただいていいでしょう。

   ですから、ある程度のタイムラグがあるものです。
   保守的な医師もいれば、進歩的な医師もいるのです。

   医師から見れば薬剤選択にはいくつかの選択肢があり、どれを選ぶかは医師の裁量です。
   さらに、薬剤の種類だけでなく薬剤の量も非常に大切です。
   
   Aという抗がん剤を10という量で使う医師もいれば、信念により1で使う医師もいます。
   薬の量は一応決められていますが、さじ加減は医師の裁量であり、同時に医師の責任です。

   ですから、「がん医療の均てん化」といえども、どこでもまったく同じということは無いはず。
   だいたい同じだけど、細かく見ると少しずつ違う、というのが現状ではないでしょうか。

   ですから抗がん剤の主治医とは、しつこい位によく話し合っておいたほうがいいでしょう。
   毒を盛られるのですから、事前に毒の量について聞いて納得しておくのは当然だと思います。

PS)

悪い天気が続いていますが、今日はちょっといいと聞き、気を良くしています。
先々週にクリニックの在宅患者さんを集めての花見をしましたが、その時だけ晴れていました。
今思えば、あれはキセキだったのか。