《1828》 再発・転移をする人としない人の差 [未分類]

がん医療、ここが分からないシリーズ・21

再発・転移をする人としない人の差はなんですか?

  大腸がんの治療が終わったところです。幸いなことに初期でしたので、治療から半年、
   ふつうに食事ができるようになりました。
   「再発を防ぐために、どんな食事に気を付ければいいですか?」と担当医に訊いたところ、
   「再発・転移と食生活はあまり関係がない」と言われました。
   長尾先生から見て、どんな人が再発・転移しやすいかどうか、何か特徴はありますか? 
   野菜中心の食事法など、さまざまながん食事療法の本が出ていますが、
   ああいうものは意味がないということでしょうか?

  うーん、難しい、というか答えにくい質問です。
  理屈っぽくなりますが、言葉の定義から入ります。
  
  正直なところ、私は「再発」という言葉をあまり使いたくありません。
  そもそも、がんが再び発生するとは、どんなことでしょう?

  がんの手術をした直後に、がんがどこかに隠れていてそれが顔を出す。
  根こそぎ捕獲して全滅させたはずのがん細胞が、どこかに隠れていた?

  それは、言葉を変えれば「取り残し」ということにはなりませんか。
  しかし、手術直後に外科医は術衣のまま家族にこう説明するはずです。

  「一応、リンパ節も含めて全部取れるところは全部取りました!」

  「先生、ありがとうございます」

  こんなやり取りがあって半年~1年経過してから、再発が判明するわけです。
  その時に「すみません。あの時どうやら取り残しがあったようです」と言えばどうなるか?

  それはミスではなかったのか?と問い詰められる可能性があります。
  では、「残念ながら再発しました」と言われれば、そうはならない・・・

  再発には、原発巣から連続した局所再発や遠隔臓器に転移巣を形成するもの、
  そして腹膜や胸膜に、米粒がこぼれ落ちるように播種する再発などがあります。

  いずれにせよ、新しく生まれたがん細胞ではなく、残っていたものが
  時期を経て息を吹き返して目に見える形になったものが再発です。

  裏を返せば、目に見える形にならない限り、再発や転移には至りません。
  前にも書きましたが、大腸がんで腹膜転移が自然消滅したことがありました。

  私は、手術直後にはがん細胞はどこかに少し残っているものだと思っています。
  しかし自然免疫の力でリンパ球ががん細胞をやっつけてくれるものだと思います。

  ですから、再発するはずなのにしない、ということが実際にあります。
  従って再発させないための食事やライフスタイルはある、と思います。

  手術後に怒ってばかりの人は、よく再発しました。
  反対に、笑ってばかりの人は、再発しませんでした。

  個人的には、ミネラル豊富な野菜を食べると免疫能が上がると思います。
  土の中に埋まっている野菜、大根や人参やお芋さんなどを勧めています。

  京野菜のような高価な野菜を食べなさい。
  野菜だけにはお金をかけなさい、と毎日、口癖のように言っています。

  取り残しというと、外科の先生に怒られるかもしれませんが、
  私は細胞単位で診れば、取り残しはあるものだと思っています。

  あるものだという前提なので、術後しばらくはストレスフルな仕事は避けてもらいます。
  そして、がんという病は、再発しない人もいれば、再発する人もいる、と考えています。

  がんで死ぬ人、がん以外で死ぬ人。
  人間はこの2つ以外にありません。