《1829》 良性ポリープが悪性になる可能性 [未分類]

がん医療、ここが分からないシリーズ・22

Q. ここ10年あまりで、3回ほど大腸のポリープ切除を行いました。

あまりにも億劫なので、「もう取りたくない」と言ったら、医師からは「放っておけばがんになりますよ」と言われました。

良性ポリープはがんにはならないと以前、何かで聞いた記憶があります。あるベストセラー本にもそう書いてありました。どちらが正しいのでしょう?


A.
 胃や大腸の良性ポリープが、悪性になる可能性は、あります。
   大きなポリープほどその可能性が高くなります。

   ポリープが大きくなると、その一部ががん化していることは珍しくありません。
   大腸でも胃でも、一般に2cmを超えると、ポリープの一部にがんができます。

   そうした大きなポリープの一部にできるがんを「ポリープがん」と呼び、
   これも早期がんの範疇に入ります。

   ただし、そのようながんを、がんと呼んでいるのは日本だけのようです。
   欧米では、ポリープの一部にとどまっている病変をがんとは呼びません。

   だから、ポリープがんを「がんと扱うがん保険」と「扱わない保険」があります。
   日本は消化器病の医療レベルが世界一なので、そんなことが起きます。

   日本の医者は、内視鏡検査技術において世界で断トツに上手いのです。
   日本人は気まじめで手先が器用なことと関係しているのでしょう。

   日本は、内視鏡などの検査機器も世界のトップレベルにあります。
   だから、欧米人には到底見つけられない小さながんも見つけてしまうのです。

   そんな小さながんなら、すべて“がんもどき”ではないか?
   そんな声が聞こえてきそうですが、そうとは限りません。

   頻度は稀ですが、たとえばポリープがんから進行がんになることがある。
   放置すれば、がんが進行して転移して死に至ることもあります。

   大腸では、5mm以下のポリープは切除せず放置でもいいとされる時代です。
   ただし、小さくても形がいびつなポリープは、純粋な良性ではない場合もある。

   その辺の判断は年齢とともに変わりますが、過剰医療にならないように、
   かといって見落とし医療にもならないように、科学的検証が加えられています。

   胃のポリープも小さければ99%良性ですが、稀にそうでないものもある。
   ですから、ポリープは絶対にがんにならない、というわけではありません。

   このあたりの疑問は、やはり内視鏡専門医ないし消化器病専門医などに
   納得がいくまで質問してみてください。