抗がん剤をやめたいが、やめさせてもらえない
Q 子宮がんを告知されたのと同時に、長尾先生の『抗がん剤 10のやめどき』という本を読み、
目からウロコでした。
私はもともとあらゆる薬が嫌いで、どんなに体調が悪くても、薬なしの生活をしてきました。
そのため、本当は最初から抗がん剤をやりたくなかったのですが、長尾先生の本を読んで、
抗がん剤のやめどきを自分で決められるのなら、試してみようと思い、抗がん剤治療を受けました。
最初の抗がん剤は半年くらい、腫瘍マーカーも下がり、少し効果がありました。
しかし、セカンドラインの抗がん剤は、ファーストラインよりも格段にけん怠感が強く、
食欲がまったくなくなってしまいました。3カ月で6キロやせました。
腫瘍マーカーもいっこうに下がりません。
食べられないことのほうが、身体にとってはリスクだと考え、先日医師に「もうやめたい」と言いました。
しかし医師は、「今後の責任が持てなくなるから、続けなさい。
あなたはまだ若いのだから続けるべきだ」と一点張り。
長尾先生が言うようには、自分からはやめられない!? 私はどうすれば……。
A 現在は、もうステージⅣなのでしょうか?
激しい体重減少があるので、徐々に終末期に近づいているのでしょうか?
まずは思い切って、主治医にそのような質問を投げてみてください。
そして、こう聞いてみてください。
「もし先生の奥さんだったら、どうしますか?」
「恋人だったら?、親だったら?」とも聞いてください。
もしかしたら、待っていました!という感じで本音を言ってくれるのかもしれません。
私は、そんな優しさを持ったがん専門医を何人も知っています。
これまでの話も一緒に読んで欲しいのですが、結局、こうしたセカンドラインや
サードラインでの医療内容に後悔が残るのです。
本人はもう考える余裕がないか亡くなっているので、家族が〝恨み〟を持つのです。
患者側は、圧倒的に情報が少ないので、黙って医者に従うことが多いでしょう。
しかし後になって、悔み、恨む。
残念なことだと思います。
医者が悪いのでしょうか?
データばかりを見て、患者の気持ちに寄り添えない医者だけが悪いのでしょうか?
私は抗がん剤の〝やめどき〟というボールを投げない患者側にも責任があると思う。
少し勇気を出して、腹を割って話合いをしたい、と発信をしてください。
もう少し治療を工夫する余裕がある場合もあるでしょう。
一方、もう〝やめどき〟の場合もあるでしょう。
抗がん剤は、〝やめどき〟が重要です。
〝やめどき〟を間違うと、必ず後悔が残ります。
医者は、三人称で良い(とされる)治療を考えます。
患者は、一人称で治療を受けて、多くはやがて死にます。
抗がん剤は〝延命治療〟です。
延命治療には〝やめどき〟がある、というのが私の持論です。
よく分からないという人は、このGWに拙書「抗がん剤・10のやめどき」
を読んで、自分だったら10のうちどれを選択するかを考えてみてください。
〝やめどき〟はひとつではありません。
〝やめどき〟は患者さんの意見を尊重して医者との話合いで決定されるものです。
絶対的な基準はあるようで、ありません。
実際の選択は、生き方、逝き方の選択であり、極めて相対的なものです。