《1839》 今井雅之さんのがん闘病会見を見て [未分類]

俳優の今井雅之さんのがん闘病会見をテレビで見ました。
ステージIVの大腸がんのため舞台を降板されるとのこと。

今井さんはまだ54歳で私より2歳若い。
その若さでがんと闘う苦しさ、悔しさが伝わってきました。
こんなに早く人生の苦境が来てしまったことに、戸惑っているようでした。

記者会見の中で、気になる言葉がありました。

「モルヒネをたくさん打って、安楽死させてほしい」と言われたことです。
実は、多くのがん患者さんも同じようなことを言われます。

モルヒネは、がんの痛みを和らげる薬です。
それは、尊厳死(=平穏死=自然死)の土台となります

死期を早めません。
モルヒネで痛みを抑えて仕事をしている人はいくらでもいます。

しかし多くの人は、「モルヒネで安楽死する」と誤解されています。
日本ではモルヒネで安楽死することはありませんし、あったとしたら犯罪です。

一般財団法人・日本尊厳死協会は、この春「あなたの痛みはとれる
という一般書を刊行し、好評を得ています。

本書は、モルヒネへの誤解を解く本です。
緩和医療という世界があることは、医療者の中でも十分に知られていません。

今井さんにもぜひ、モルヒネは決して怖い薬ではないこと、
まして死ぬ薬ではないことを知っていただきたいと思います。

あと、今井さんは現在、抗がん剤の2クール目を受けている最中だそうです。
なんだか、抗がん剤でやつれているような印象を受けましたが果たしてそうか?

今井さんは、標準治療の前に免疫療法を受けていたという報道もありました。
その点は、一部のメディアしか報じていないので誤解が生じる可能性がある。

大腸がんであれば、まずは標準治療から始められたら良かったと思いました。
繰り返しになりますが多臓器に転移しているステージIVでも完治があります。

多くの大腸がんの方が今井さんの記者会見を観られたかと思いますが、
以上の2点を誤解しないでほしい、と思いました。

標準治療を始めるのが後回しになったのかな、と想像しながら観ていました。
とはいえいつかは、抗がん剤治療を止める時が来るのだろうと思います。

その時には、ぜひとも拙書「抗がん剤・10のやめどき」を参考にしてほしい。
本書は、私自身が胃がんで抗がん剤治療を受けるという、「がん小説」です。

今井さんには、しばらく静養してまた元気な顔を見せていただきたいと願います。
そして、多くのファンに元気を与えてほしい。

というわけで、今井さんや抗がん剤治療中の方にむけて、拙書「抗がん剤 10のやめどき」
の内容を、明日から本コラムでしばらくご紹介することにしました。

今井さんの抗がん剤治療、スピリチュアルペインを含む緩和ケアなど、
がん医療で悩んでいる多くの方に少しでもお役に立てば、幸いです。