先日、60歳代のおひとりさまが自宅で穏やかに亡くなりました。
膵臓がんが肝臓をはじめとしてお腹のあちこちに転移していました。
朝一番に訪問看護師が入った時に、すでに呼吸が停止していました。
毎日看護師や医師が診ているので、普通に死亡診断書を書きました。
結果的には、在宅期間はわずか1ケ月程度でした。
まあ、末期がんとしては平均的な数字です。
しかしその患者さんと会ったのは、10年くらい前でした。
2年前に膵臓がんが見つかり治療しましたが、終末期と判断されました。
それで在宅医療を依頼されて、1ケ月後に寝ている間に亡くなりました。
おひとりさまの平穏死。
遠くの家族に来てもらいました。
苦痛が無く、穏やかだったことに満足されていました。
たしかに、痛みの治療をしっかりしていたので痛みとはほぼ無縁でした。
フェンタニルの貼り薬と頓服のモルヒネを上手に使われていました。
医療用麻薬にはモルヒネ、オキシコドン、フェンタニルなどがあります。
日本ではがんでもまだ十分に麻薬が使われていないと指摘されています。
最近話題になった今井雅之さんも痛がって亡くなられましたが可哀相でした。
一方アメリカではがん以外の病気でも手軽に使い過ぎる傾向があるようです。
人口当たりの医療用麻薬使用量は、アメリカは日本の20倍もあるそうです。
アメリカではがん以外でも気軽に使い過ぎるので依存症になるのでしょうか。
末期がんの在宅患者さんには、しっかり医療用麻薬を使います。
それが在宅ホスピスの基本、土台です。
そして、おひとりさまは必ず自宅で平穏死できることも知ってください。
それは本人の希望が通る状況にあるからです。
換言すれば、家族に無理やり入院させられないからです。
一般にはまだ知られていないことなので、紹介しました。