モルヒネと聞くと、眉をしかめる人が多くいます。
また麻薬と聞いても同じことがあります。
モルヒネも麻薬も大きな誤解があるようですが、
そもそも両者の関係はどうなのでしょうか。
モルヒネとは、オピオイド鎮痛薬です。
一方、「麻薬」とは法律用語で薬物依存を招きやすい薬物の総称。
ヘロイン、コカイン、LSD、MDMAなどの不正麻薬も含みます。
つまり、医療用モルヒネは、数ある麻薬のなかのひとつなのです。
しかし、不正麻薬のイメージが強いためにモルヒネは誤解されます。
こうした誤解は医師でさえ根強くあり、「中毒」を懸念する人が多い。
現在、日本にはモルヒネ中毒患者はほとんどいません。
国立精神・神経医療研究センターの2009年の調査結果を紹介します。
タバコとアルコールを除いてこれまで依存性薬物を使った人の割合は、
有機溶剤1.9%、大麻1.4%、覚醒剤0.3%、MDMA0.2%です。
コカインとヘロインは誤差範囲内と報告され、モルヒネは誤差にも入っていない。
ですから、モルヒネ中毒患者は日本にはほとんどいません。
しかし医療用オピオイドも治療目的以外に使えば「乱用」になる可能性はあります。
「乱用」は「薬物依存」と「慢性中毒」への案内役になってしまうことがあります。
ですからモルヒネなどの医療用オピオイドは医師の指示どおりに使うことが大切です。
自分勝手に使ったり、他人への譲渡は認められていないことを知っておいてください。
(参考文献) あなたの痛みはとれる(日本尊厳死協会編)