《0190》 胃ろうから尊厳死を考えよう [未分類]

胃ろうとは、内視鏡で見ながら胃の上の皮膚に穴を開けて
栄養剤を補給のための管を留置する栄養方法です。

現在の胃ろう人口は、約40万人。
特に、認知症終末期の胃ろうが問題となっています。

胃ろうを入れない自然な最期は、尊厳死です。
では、いったん入れた胃ろうからの栄養中止は、どうでしょうか?

尊厳死と言い切れる自信がないので、多くの医者は、家族から
中止希望があっても、なかなか中止できません。
後で訴えられる可能性があると感じるからです。

私は、そのようなご家族の要望に応えて、在宅に帰られてから、
徐々に注入量を減らした経験があります。

幸い、訴えられずにここまで来ましたが。
たとえ子供が訴えなくても、遠くの親戚や兄弟が訴えるかもしれません。
そんなことをどこかで考えながら、日々の診療をしています。

人工呼吸器も同じです。
付けるのは簡単ですが、外す時がいつも問題になります。

延命治療は、中止の時の議論こそ大切です。
認知症終末期の胃ろうを題材にして、尊厳死を議論したら
一般市民にも大変分かりやすいかと思います。