星薬科大学の鈴木勉教授は、モルヒネが用量によって異なる作用を
表すことを明らかにしています。
鎮痛に必要なモルヒネの用量を1とすると、
便秘は0.02倍(1/50)
吐き気は0.1倍(1/10)で現れるそうです。
眠気は2.6倍
呼吸抑制は10.4倍
死亡は鎮痛量の357.5倍であることが報告されています。
モルヒネの副作用と言われているものは、実は作用の一部なのです。
モルヒネを使用する時は副作用対策をしっかりしておくことが必要。
モルヒネを投与する場合には便秘薬や吐き気止めも一緒に処方します。
予防的に副作用対策をしっかり行っておくことが重要なのです。
副作用というと幻覚を想い浮かべる方が多いのでしょうが、
そうではなく、便秘と吐き気がほぼ必発と考えておくべき。
深夜の看取りから帰り、これを書いています。
今年に入ってちょうど50人目の在宅看取り。
家に帰ってから10分もたたないうちにまた呼び出されることが
昨夜だけでも2回、先週も2回あり、家に居れる時間は僅かです。
どなたも平穏死で家族もとっても穏やかです。
今夜も大勢の家族と談笑して部屋を出ました。
がんの方は、ほとんどの方にモルヒネを使います。
痛みが取れていったん笑顔と食欲が出ますが、再び下降線に・・・
粘り強くその人の痛みにあうモルヒネの量を増量しながら探していきます。
タイトレーション(至適容量設定)を行う技術が在宅ホスピス医に求められます。
もし副作用対策を怠ると、患者さんにご迷惑をかけます。
毎日、毎日、鎮痛薬の王様であるモルヒネを上手に使うことを考えています。
(参考文献) あなたの痛みはとれる(日本尊厳死協会編)