尊厳死とはリビングウイルを表明した人が延命措置をせずに
自然な経過に任せた先にある最期のことです。
平穏死、自然死と同義で、決して珍しいことではありません。
ちなみに私が経験した在宅看取りでは全例が尊厳死だったと思います。
一般財団法人・日本尊厳死協会のリビングウイルは3つのお願いから
成っていますがそのうちのひとつは、緩和医療のお願いです。
「私の苦痛を和らげるためには、麻薬などの適切な使用により
充分な緩和医療を行ってください」とあります。
http://www.songenshi-kyokai.com/living_will.html
つまり緩和医療の先に尊厳死があります。
極めて基本的なことですが、あまり知られていないかもしれません。
リビングウイルを表明した12万人の市民は強く願っています。
充分な緩和医療を受けながらの穏やかな最期を。
では麻薬などを用いた緩和医療は医療現場で実現しているのでしょうか。
麻薬への大きな大きな誤解のため実現できれいるとは言い難いようです。
WHO方式がん疼痛治療が発表されて、30年も経過しましたが、
充分な緩和医療が提供できていると到底言える状況ではありません。
ところで認知症になった時に、自分の延命措置はどうなるのでしょう?
すでに表明しているリビングウイルを、忘れてしまうのではないか?
大認知症時代を前に、リビングウイルを考え直す時期に来ています。
そこで日本尊厳死協会は、さまざまな研究会を開催してきました。
先月、都内で第4回日本リビングウイル研究会を開催して
加藤佳子先生らをお招きして緩和医療について学びました。
また、有識者によるリビングウイル研究会も6回開催されて
新しい日本版リビングイルへの提言をまとめました。
さらに昨年から全国各地でリビングウイル研究会が開催されています。
明日は、大阪で関西リビングウイル研究会を開催します。
http://www.drnagao.com/img/lecture/kansailw20150712.pdf
リビングウイルと緩和医療は表裏一体です。
麻薬の誤解が少しでも減ることを願っています。