“がんもどき” と“本物のがん”と2元化することが間違っているのではないか。
その中間がいくらでもあるし、“がんもどき” から“本物のがん”に変わるものもある。
昨日、私はそう書きました。
しかしそれはあくまで、私の仮説であり、間違っているかもしれません。
というのも、二元論は間違っていない!と主張する研究者もおられるからです。
お会いしたことがありませんが、何度もメールを頂く、
ある研究者の方によれば、がん遺伝子やがん抑制遺伝子に加えて、
「がん転移遺伝子」というものが見つかっているそうです。
がん転移遺伝子は、周辺組織への浸潤と遠隔転移への性質を持っていて、
「転移するがん」は例外なく、がん転移遺伝子が発現している、とのこと。
要は、“がんもどき”仮説は正しい、と主張する研究者も現におられ
それを決定する遺伝子の存在が、科学論文として発表されているということです。
しかしこの数年間、科学的検証は進んでいないようで、どこか半信半疑の
ような気持ちで、研究者たちの仕事を眺めているのが正直なところです。
もし「がん転移遺伝子」を簡単に検出できるのであれば、益のない抗がん剤治療を
ウンと減らせるのでしょうが、残念ながら実用化の目途はたっていません。
もっとも私は、遺伝子だけで病気や運命が説明できるなんて全く考えていません。
遺伝子の働きは変わりうるし、変えられるものであると思います。
エピジェネティクスという考え方です。
遺伝子運命論はある程度真実でしょうが、あくまで確率の問題ではないのか。
難しい話になりました。
少なくとも二元論は分りやすいが危険であると考えています。
多くの病変は、その中間のどこかに位置するのではないか。
そうしたイメージを、“グラデーション”と表現してきましたが、
“人間社会と同様”と言ったほうが分かりやすいのかもしれません。
参考文献
長尾先生、「近藤誠理論」のどこが間違っているのですか?(ブックマン社)