「ミラーマン」の主人公を演じた俳優の石田信之さん(64歳)が、がんで
主治医から「余命20~30カ月」と宣告された、という報道をみました。
どうやら、大腸がんの肝転移に加えて胃がんも発見されて、今年3月に
大手術を受けられたが、このたびPET検査で再発が確認されたとのこと。
大腸、肝臓、胃、リンパ節、尿道にがんが見られるとのことから、、
がんが全身に広がっていることは間違いなさそうです。
主治医から「好きなことをやってください」と言われたとのことなので
「よかったなあー」と思っていたら、どうやらそうでもないようです。
記事をよく読むと、石田さんは抗がん剤治療中で、体重が62kgから一時は
50kgまで低下したとのことで、「やめたほうがいいのでは」と心配しました。
しかし現在は59kgまで戻っているとのことで、「だったら抗がん剤を
やってもいいのかなあ」なんて思い直しました。
私が驚いたのは、「余命20~30カ月」という主治医の説明です。
大腸がんの5年生存率のグラフから割り出した数字なのでしょうか。
私は、余命1カ月でも信じません。
余命3カ月も全く自信ありません。
まして余命1年や2年なんて、まったく分かりません。
私のほうが生きているかどうか分からない、と思います。
以前、「余命3年」と書かれた胃がん患者さんを紹介されたことがありました。
内視鏡で診て、早期がんから進行がんに入った段階であると診断しました。
超高齢のその患者さんは結局、手術を拒否して4年後に亡くなりました。
自宅での平穏死でしたが、果たして病院からの余命宣告は当たっていました。
しかし「20~30ケ月」という説明の仕方は凄いなー、と思いました。
私が患者なら「先生も200~300ケ月ですよ」と言い返すかもしれません。
私は余命宣告という言葉が大嫌いです。
ご家族に聞かれたら、仕方なく自分の予想を言います。
必ず「私の予想はよく外れますからねえ」と、断りを入れます。
もちろん本人には、私の本心は絶対に言いません。
「宣告」など、私にはとてもできません。
生きられるだけ生きようよ、でいいと思っています。
石田さんがいつまで抗がん剤治療を続けられるのかは知りませんが、
「やめどき」を間違えないことを、おせっかいですがお祈りします。
参考文献:長尾先生、近藤誠理論のどこが間違っているのですか?(ブックマン社)