《0193》 研修医がやって来た1週間 [未分類]

先週、ある病院の2年目の研修医が勉強に来ていました。
最近は、大病院だけではなく、開業医でも研修する時代です。
地域医療研修といって、カリキュラムに組み込まれています。

やる気のない者もいますが、先週来た研修医は、とても
やる気がありました。
どんどん、鋭い質問をしてくれました。

外来だけでなく、在宅医療も一緒に回ります。
在宅患者さんは、自分が診てもらっていた病院の医師と知ると
態度が一変します。

経験26年の医師より、経験2年の医師の方が病院の看板さえあれば
上に見えるのが、患者さんの視点です。
さすがに、もうそんなことには慣れていますが。

訪問看護師さんとも同行してもらいました。
すると、その研修医は「ケアマネさんも見学したい」と言いました。
これは感動ものです。

自分から、ケアマネ見学を志願した研修医は初めてでした。
「分かる医者は、最初から分かるんだなー」です。

人間を診る、生活を診る、のが当院の研修テーマなのです。
一緒に回っていると、こちらも若返ったような気分になります。

しかし、52歳と26歳。
年齢差はちょうど倍でした。

自分では先輩のつもりでも、相手から見たら自分の親父と同じ年齢。
単なるオヤジ。
前回は、父親が私より年下で、ちょっとショックでした。

医療再生は、このような地域研修から始まります。
現在の、そして近い将来の研修医に期待したいと思います。

彼らが一人前に育つ10年後が、日本の医療の難局を迎えます。
難局をしっかり乗り越える力を持った医師を育てるのも
我々の世代の大きな仕事です。
当院には医師だけではなく、様々な職種が勉強に来られます。

一期一会の研修ですが、十年後かに
「あの時の長尾先生の一言が忘れられません!」
「俺、そんなこと言ったかなー?」
なんて会話が交わされることを心のどこかで期待しています。

手間はかかるけれど、大きな意味のある研修です。
このような人間を診る教育が、もっと医学教育の根幹にならないと、
日本の医療はますます混迷すると思います。