昨日は、広島に原爆が投下されて70年目でした。
CNNニュースでもこれを大きく取りあげていました。
アメリカ人が「本当に良かったのだろうか」とか
「広島に来るまで何も知らなかった」と答えていました。
私のクリニックにも被曝者証を持った患者さんが受診されますが、
その証にある、○(まる)に原と書かれた印を見る度に、戦争はまだ終わっていないのだと思います。
人の命に直接かかわる医師こそ、原爆や戦争について真剣に考えなければ
いけない、という気持ちがいっそう強くなりました。
イスラム国について「私は聴診器でテロと闘う!」と発信されている鎌田實先生の
お顔を、雑誌の対談でたった一度しかお会いしていないけど思い出しています。
さて、昨日は、私の友人から悲しい知らせがありました。
胃がん健診で進行胃がんが見つかってしまいました、と。
本人からの報告だったので、安心しました。
この1年、それが訃報であったことが何度かあったからです。
手術、抗がん剤と順調に(?)闘病中とのことで、ひと安心しましたが、
同世代ということもあり、急に自分のことが気になりはじめました。
人間というのはそんなものでしょう。
身近な人や芸能人が病気になってはじめて、自分のこととして考えるのです。
では私は、この20年以上、胃がん健診をなぜ受けて来なかったのか。
正直に書いてみましょう。
- めんどくさい
- 忙しかった
- がんが発見されるのが怖い・・・
おそらく、最後の「怖い」のでしょう。
もしがんが発見されたら、その瞬間から生活が変わります。
もしかしたら人生も変わるかも。
できれば悪いことは先送りしたいのが、人間なのでしょう。
早期発見、早期治療が大切だと言っていますが、いざ
自分のことはスッカリ棚に上げているのです。
メタボは良くない、運動不足も良くない、も同じことでしょう。
他人に言っていることと、自分がしていることは別々なのです。
体重が120キログラムもくらいあろう医者が「肥満は良くない」という
話をしているのを聞いていた聴衆はみな笑っていたが、そんなもの。
日本はがん検診受診率が低い国です。
ただこれは国民皆保険制度の充実と関係があるのかもしれません。
私はよく「思い立った時のがん検診」と書いています。
みなさまも、この文章を読んで思い立って頂ければ幸いですが。
ずいぶん説得力のない文章で恥ずかしい限りですが、もしも
私が20年ぶりに胃がん検診を受けたら、みなさまに報告いたします。
参考文献) 「長尾先生、近藤誠理論のどこが間違っているのですか?」(ブックマン社)