がん検診をほとんど受けていない医者が言うのもなんですが、
一応、多くの患者さんを診てきた医者としての雑感を書きます。
がん検診の問題点はいくつかあります。
- 過剰診療にならないか、グレーゾーンの扱い
- 対費用効果、集団検診の是非
- 放射線被ばくなどの、肉体的・精神的ストレス
これらの問題は横に置いて、独断と偏見を書きます。
まず、胸部のレントゲンは機会があれば撮るべきです。
これは私でもやっています。(法律で定められているのですが)
腕のいい読影医が、偶然、早期がんを発見してくれる可能性があります。
早期発見・早期治療で明らかに命拾いした肺がんの人はいくらでもいます。
次に、腹部エコーです。
最近増加の膵臓がんや胆嚢がんが、いとも簡単に見つかることがあります。
次に、便潜血検査です。
これは極めて簡便ですが、陽性の場合、次の検査が内視鏡なのが課題です。
次に、マンモグラフィーです。(女性のみ)
乳がんは30代と50代と若い世代がピークですから、〝惜しいがん〟です。
次に、腫瘍マーカーです。(これも自費になります)
3つ挙げるならば、CEA、CA19-9、シフラかPSAでしょうか。
最後に年齢です。
ズバリ50歳代、60歳代の方が受けるべき世代だと思います。(私です)
後期高齢者が受けるのは自由ですが、たとえば90歳の人が便潜血が
陽性ですが、と来院されたら、なんともいえない気分になります。
最後の最後のアドバイスは、早めにがん保険に入ってから受けるといい。
がんが発見された人に真っ先に聞くのが、がん保険への加入の有無です。
なぜか、がんになる人は入っていなくて
入っている人ががんにならないのが、がん保険なのです。
参考文献) 「長尾先生、近藤誠理論のどこが間違っているのですか?」(ブックマン社)