《1937》 腫瘍マーカーと余命 [未分類]

ほんの少し暑さが和らぎ、ホッとしていますが、
もう少しの間、熱中症対策を忘れないでください。

いろんながん患者さんを診ながら考えることは、
腫瘍マーカーと余命の関係です。

そもそも、がんだから腫瘍マーカーが上がる、とは限りません。
たとえば、胃がんで腫瘍マーカーが上がる人と上がらない人がいる。

上がるとしてもCEAであったり、CA19-9であったりします。
なかには、AFPというマーカーが上がる場合があります。

一番上がるマーカーで腫瘍を追いかけますが、手術や抗がん剤治療等で
下がるので、治療効果の判定によく利用されます。

いや、一切治療をしなくても自然に下降する人も稀にはおられます。
一方、値がどんどん増加するときに、よく受ける質問があります。

「CEAがいくらぐらいに上がったら死ぬのでしょうか?」

実は、これについては一定の目安はありません。
CEAが20で亡くなる人もいれば、200でピンピン生きている人もいる。

またCEAが、200から20に下がっても、そのまま亡くなる人もいる。
腫瘍マーカーで余命予測ができると思う人がいるが、そう簡単ではありません。

腫瘍マーカーの動向と病気の勢いは概ね連動することが多いが、例外もあります。
あくまで参考所見のひとつと考えて、一喜一憂しないことだと思います。

その点、腫瘍マーカーが無いがんのケースのほうが、数字に惑わされなくて済むので
穏やかに過ごせる、という場合もあります。

余命。

こればかりは医者にも、良く分からないのです。
そして、がん哲学外来の創始者である樋野興夫先生の近著のタイトルに共感します。

「明日この世を去るとしても、今日の花に水をあげなさい」