戦後70年の大きな節目を振り返る番組や紙面を通して
私なりに仕事の合間に、戦後の変遷を振り返っています。
70年前のあれだけの数の犠牲の上に、そして復興の中での様々な犠牲の上に
今日の繁栄と幸福があることに、今さらながら感謝して、明日に備えています。
超高齢化社会と人口減少社会。
そして少産と多死の時代へ。
これは31年前に私が医者になった時に、ある程度は予想されていましたが
あまり実感はされていなかったような気がします。
医療が急性期病院中心の時代になり、約40年が経過しました。
しかし、社会構造の変化に医療があまり呼応できていないと感じます。
「日本の年間死亡者は年々、増えているか。減っているか?」
以前も書きましたが、優秀な医師に聞いても正答率が半分以下の問題です。
いや、優秀だからこそ、こんな簡単な問題を考えたことがないのでしょうか。
1+1のような問題に優秀な医師が答えられない現実を、まずは直視したい。
よく、木を見て森を見ない、とか
病気を見て、人を見ないと言われます。
しかし現代医療はそんなレベルではなく、細分化されています。
臓器だけを見て病気は見られない時代になってきているのです。
そんな専門医だけが優秀な医師としてもてはやされる時代なのです。
国民のニーズに医学が益々あわなくなっていることを日々肌で感じています。
患者の医療不信やクレームは、今後、増えるのでしょう。
具体的には、さんざんこの5年間、毎日毎日、ここに書いてきたとおりです。
これからの時代は、ふたつの大きなベクトルをしっかり意識したい。
・iPS細胞医療に代表される先進医療
・高齢者医療や総合診療のような全人的医療
私は、両者のバランスが、全ての医療者に求められる時代になると感じます。
どちらかだけではダメでどちらも学び、バランス良く適応するのが医学です。
以上の認識は、国民も共有すべきでしょう。
医療者と国民が同じ方向を向いて、医療制度を上手に利用したいものです。
参考文献) 「長尾先生、近藤誠理論のどこが間違っているのですか?」(ブックマン社)