今週、2人の知人から「がん」の告白を受けました。
患者さんではなく、プライベートな「知人」です。
しかも、いずれも40代と、私より若い年代でまだ働き盛りの方がた。
なんてお返事したらいいのか、とっさには言葉が見つかりませんでした。
昨日は、40代の末期がんの方の自宅を訪問していました。
日に日に弱っていくその人にかける言葉は、とても難しいものがあります。
幸い明るい方で、自分に迫っていることにまだ気がついていない様子でした。
それだけに、私たちも言葉を選びながら会話をすすめます。
こう言うと、年齢による「差別」だと怒る人がいるかもしれませんが、
40代の末期がんと90代の末期がんは、当然、対応策が全然違うはずです。
さあこれから、という世代と
もうそろそろ、という世代の差は大きい。
90代なら「放置」が多くなるでしょうが、
40代なら最初から「放置」はあり得ないでしょう。
現実には、手術や抗がん剤や放射線の負担だけでなく
就労支援、子育て、そしてお金の問題が加わってきます。
そう、お金の問題です。
40代のがんの人が在宅医療を受ける時、患者は3割負担になります。
末期がんで介護認定を受けても収入が多ければ、2割負担になります。
しかし高齢者は、たいていどちらも1割負担ですから、
高齢者に比べて若年者のがんは随分高い負担額になります。
だからギリギリになるまで在宅依頼を我慢しよう、となりがちです。
いつも「もっと早く言ってくれないかな」と思いますが、後の祭りです。
せめて在宅療養されているうちは、若年者も高齢者と同様に
医療も介護も1割負担にしてくれたら、助かるんだけどなあ・・・
実は、在宅の医療保険を1割負担にする自治体があるそうです。
ありがたいことに、自治体が差額を援助してくれるのです。
いずれにせよ、自分より若い人のがんの相談を受けることが増えました。
それだけ自分も年をとったし、そのうち自分の問題になるかもしれない。
そして就労とがん療養の問題も大切です。
失業すれば、健康保険資格が喪失します。
当たり前のことですが、がんも病気との闘いだけでなく、
さまざまな社会環境の整備も考慮すべきだと思いました。
参考文献) 「長尾先生、近藤誠理論のどこが間違っているのですか?」(ブックマン社)