《1954》 手術も抗がん剤も受ける医師 [未分類]

知人の消化器内科のお医者さんが、大腸がんになりました。
当たり前ですが、医者も2分の1の確率でがんになります。

その先生は、進行がんだったので外科手術を受けました。
その後、術後の再発防止のための抗がん剤治療も受けました。

正直、抗がん剤はやるのかなあ? と思って見ていました。
しかしその先生は、大人しく患者になって抗がん剤を受けていました。

一般に医者ががん患者になった時、いちばん厄介だと言われています。
ちなみにいちばん往生際が悪いのも医者だと、相場は決まっています。

医者も自分のことになると綺麗ごとは言いません。
生死がかかっているので、必死で治ろうとします。

医者が受ける治療がいちばんいいのかどうか、誰も分かりません。
現在の治療の評価が出るのは100年後ですが、その時は全員もういない。

華岡青洲が評価されたのも、ずいぶんたってからのことでしょう。
一方、その時代に正しかった治療が10年後に全否定されることもあります。

結局、その時代にベストとされる方法にすがるのが人間界の掟。
ひとくちに医者と言っても、がんの専門家以外は素人同然です。

現在の手術や抗がん剤が、100年後にどう評価されるのか?
いつもそう夢想しています。

なにが正解だなんて、真実は誰にも分からないし、永遠に分からないでしょう。
しかしその時代を生きる人たちが真実だと思うことで、現実社会が成り立っています。

たとえ医者であっても、それ以外ではありません。
みなさん色々苦労して、標準治療を受けておられます。

参考文献) 「長尾先生、近藤誠理論のどこが間違っているのですか?」(ブックマン社)