国立がん研究センターから5大がんの5年生存率が発表されました。
http://apital.asahi.com/article/news/2015091500016.html
これは、がんと診断された人が5年後に生存している割合を
日本人全体で5年後に生存している割合で割った「相対生存率」のこと。
5大がん全体では64.3%で、部位別では胃71.2%、大腸72.1%、
肝臓35.9%、肺39.4%、乳房(女性のみ)92.2%でした。
これらの数字を眺めながら、いくつかのことを考えました。
- がんになっても、3分の2の確率で5年後に生きている!
- 肝臓がんと肺がんはやや厳しいが、それでも3分の1は生きている!
- 胃がんと大腸がんが同じ
- 乳がんは、5年後も9割以上、生きている!
- がんができる臓器によって、3倍近い差がある
なんだか元気が出る統計だと思いました。
少なくとも、がん宣告=死の宣告ではない、ことがハッキリ分かるデータです。
さらに、いろんなことを考えてしまいました。
・肝臓がんと肺がんの早期発見・早期治療は、胃や大腸より難しい。
・乳がんは早期発見・早期治療が易しいか、遅く発見されても死ににくい。
なんとなく肺がんががんの死亡数トップであることが納得できました。
同時に自分が肺がんになった時、どんな治療を受けるかも考えました。
肺がんは、4つのがんの総称です。
腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん、小細胞がんの4つ。
どれであるのかを確定するには、気管支鏡などによるがんの診断が必要です。
また生検した検体で遺伝子検査も、たぶん行うでしょう。
手術で完治できそうなら、受けるでしょう。
局所だけの最新式放射線治療なら受けるでしょう。
では、抗がん剤はどうか。
もしEGFR遺伝子陽性であれば、イレッサを
ALK融合遺伝子陽性であれば、ザーコリを試すことでしょう。
問題は、どの程度効くかです。
もの凄く効くのか、ちょっとだけ効くのか。
次に、どの程度の期間、効いているのか、です。
1年だけ効いているのか、5年以上効いているのか・・・
いずれにせよ、やっぱり”やめどき”だろうなあ、
と一人ため息をついていました。
以下は、まったくの空想ですが、
もしがんを全く治療しなかった場合の、それぞれの数字はいかほどなのでしょうか。
治療の余地があるがんを放置することは普通はあまりしないし、できないのですが、
もし本当に「放置」して自然経過に任せたならば、どんな数字になるのでしょうか。
そんな統計をもし取れるとしたら、日本にはたった一人しかいません。
150人のがんを放置した経験のある近藤誠医師ならデータがあるのかもしれません。
私は、これらの数字は年齢によって、かなり異なってくると思います。
もちろんそれもある程度加味された「相対生存率」ではあるのですが。
若い人と後期高齢者を比較したら、後期高齢者の生存率が高くなる可能性がある?
また、もしかしたら、「放置群」のほうが「治療群」より高くなる可能性がある?
また、がんのステージ別で比較したら、どうなるのか。
これも、「放置群」のほうが「治療群」より高くなる可能性がある?
そんな可能性を夢想していました。
参考文献) 「長尾先生、近藤誠理論のどこが間違っているのですか?」(ブックマン社)