《1978》 あっぱれ、川島なお美! [未分類]

女優の川島なお美さんが、昨年一月に肝内胆管がんで手術を受けられて、
現在激ヤセされたことが、いろんなメデイアで報じられています。

特に私の世代には昔から人気がある女優さんですが、昔のイメージとかなり
違う近況写真に、驚いた方も多いでしょう。

一昨日は、出演していた舞台を体調不良で降板したと報じられました。
手術後の体調を心配されている方が多いと想像します。

しかし川島なお美さんのブログのコメントは意外に楽天的に見えました。
ブログを通してファンから応援のメッセージをもらい、喜んでおられる様に見えました。

降板する数日前には、ステージに立つ喜びと意気込みを元気いっぱいに語っておられた。
舞台を降板されたことは、ご本人が一番ショックなことでしょう。

私は、川島なお美さんの覚悟と明るさに、医師として感服する想いでした。
多くの女優さんは体調が悪くなれば、あまりカメラの前に出ないと思います。

しかしご病気で痩せられた川島さんは、誰の目から見ても、
確かに健康体とは程遠いシルエットでしたが、
和服から仕立てたという美しいドレスを纏って、優しそうなご主人とともに、
シャンパングラスを片手に、優雅に笑って見せられて、女優オーラが全開でした。

私は多くのがん患者と接する医師ですから、川島さんように痩せたがん患者さんを
毎日のように見ていますので、あれは私にとっては普通に見慣れた(?)姿でした。

しかし一般の人は、あのような姿を見ることはあまり多くはないはず。

彼女は、がんになっても、元気に仕事ができる、充実した毎日を送れるのだということを
日本全国に向ってアピールしました。

聴衆を元気な気持ちにさせることが、芸能人としてのひとつの役割だとすれば、
川島さんは、全国のがん患者さんを勇気づけたという意味で、大変立派なお仕事をされたのです。

しかしそれを軽々しく、ネット上で揶揄する人もいる。それは人間として、恥ずべき行為です。

もしご自分やご自分の家族がそうなったとき、心無いことを知らない人から言われたり
嘲笑されたらどんな気持ちになりますか? 

今や、二人に一人ががんになる時代。

がんになっても堂々と働ける社会を作ることが、
我が国の喫緊の課題であることをどうか忘れないでください。

川島なお美さんの勇気と頑張りとおおらかさに、感動しています。
降板は残念ですが、素晴らしい闘いぶりだと思います。

私は今後も、彼女が発するコメントを楽しみに待ちます。

何も隠すことなく、隠れることなく堂々と発信してほしい。

それががん患者さんたちへのエールとなるし、
私もまた、「あっぱれ、なお美さん!」とエールを送ります。

彼女は外科手術を受けました。
一方、手術は意味がないとがん医療をほぼ全否定する医師の本が売れています。

経過が良ければ「がんもどきだった」と言い、
経過が悪ければ「本物のがんだった」と言うのですから的中率は100%。

一部の報道では、なお美さんは、抗がん剤と放射線は拒否されたと書かれています。
手術は「やる」が、抗がん剤と放射線は「やらない」と自己決定された。

女優としてできるところまで優雅に振る舞い、
「天命を生きる」という選択をされたと書いているメディアもありました。

もちろん、さまざまな葛藤はあることでしょう。
葛藤しながらも、自己決定したうえで天命に任す。

素晴らしい生き方だと思います。

参考文献) 「長尾先生、近藤誠理論のどこが間違っているのですか?」(ブックマン社)