私は、手術前に、失敗する可能性も当然考えました。
もし失敗しても、潔く諦めようと、一応決めていました。
それなりに腹はくくっていたつもりです。
しかし実際にカルテの字が見えなくなった時は、さすがに焦りました。
さりとて誰に文句を言う訳でもありません。自分が決めたことです。
強いて言うなら、自分自身に文句を言うべきかもしれません。
もし、もう少し弱く焼いてくれていたら・・・
もし、もう少し細かい配慮をしてくれる施設で手術していたら・・・
なんて、後悔は、ほとんどありません。
本当に1%も無いか?と聞かれたら、少し嘘になるかもしれませんが。
むしろ、手術の結果がたとえ同じでも、受け取り方はその人の性格に
よって大きく変わるものだと思います。
もしもっとおおらかな性格の人なら大いに感謝しているでしょうし、
完璧主義の人なら、逆に裁判で訴えているかもしれません。
同じ結果でも、受け取り手によって、天と地ほどの違いがあります。
さらに、医療はやってみないとわかりません。
いくら完璧に準備しても、ある一定の確率で「失敗」が出てきます。
もちろん、「失敗」をできるだけ少なくする努力や工夫は必要ですが。
それでも「失敗」が起こり得るのが、医療というものです。
その「医療の不確実性」こそが、患者さんには理解しにくい点だと思います。
それは、医者と患者の間に横たわる、「深くて暗い川」かもしれません。
長々とくだらない体験を書いて申し訳ありません。
自らが体験した「医療の不確実性」と「自己責任」ということを
申し上げたかったのです。(このシリーズはこれで終わりです)