《0211》 頑固な便秘 [未分類]

最高の名医でも、何割かは誤診であると言われています。
ならば、私のような迷医なら、数えきれない
誤診をしているはず。今回からしばらく、
私と私の周辺のトンデモ誤診を書いてみます。

話を分かり易くするため、少し誇張する部分もありますが、
基本的には、すべて実話と思ってください。
あと、他の医者の誤診でも、
「私の誤診」として書きます。

誤診というより、医療事故に近い話もあります。
トンデモすぎて、どこにも書けない話ばかり。
患者さんから見たら、怒り心頭でしょう。
まあ全部、時効(?)ですが。

誤診から医者が学ぶことは、沢山あります。
しかし、我が身に本当に起これば、
訴訟になるかもしれません。
このブログでは、どうか「笑い話」として
聞き流してください。

ある日、小太りの中年女性が腹痛を訴えて受診されました。
お腹を診ると、どうやら便秘による腹痛のようでした。
浣腸とブスコパンという腹痛止めの注射をして返しました。

彼女は、翌日も同じように腹痛を訴えて受診しました。
昨日と同じように注射を打つと、黙って帰られました。
頑固な便秘のようなので、下剤を処方しました。

すると、翌日、その翌日も来られました。
そしてとうとう5日目には、腹痛は益々強くなりました。
「ブスコパン」ではあまり効かなかったので、今度は
「ペンタジン」という強い痛みどめを注射して返しました。

それから2週間後。
彼女は菓子折りを抱えて満面の笑顔で
お礼に来られました。

「おかげさまで、無事出産できました!」
赤ちゃんを抱いています。

彼女は、自分の妊娠を当然、
医者が知っているものと思って毎日、
受診していたようです。

「あの注射のお陰で、陣痛も軽く済みました」
「陣痛???・・・・・」

看護師さんたちが、陰で笑っています。
彼女たちは、知っていたの?
知っているなら、教えてくれればいいのに・・・

「女を見たら妊娠と思え!」
医学生の時に習った格言が、頭をよぎりました。