《0213》 治らない風邪 [未分類]

若い女性が、風邪症状を訴えて受診されました。
普通の診察のあと、普通の風邪薬を出しました。
町医者なら、1日に何度もあることです。

3日後、その女性がまた来られました。
今度は、咳が出て夜、眠れないとのこと。
前回と違う薬を出してみました。

そのまた3日後。
彼女は、今度はお腹も痛いと言って来ました。
お腹を診察して、胃腸炎との診断を告げました。

お薬の説明、食事の説明などを早口でしました。
説明していると、彼女が突然、ニヤッと微笑みました。
「なんだ、なんだ・・・」

「先生、実は、私のおばあちゃんの在宅主治医に
なって欲しいの。今の主治医はダメなの。先生は合格よ」

どうやら、私はテストされていたようです。
テストされていること(詐病)を見破られなかったの
ですから、これも立派な誤診です。

彼女は、いろんな訴えを言って、
その医者がどんな対応をするのか、
まさにテストしていたのです。

彼女が私に出した評価は、「合格」でしたが、
私が自分自身に出した評価は、「不合格」でした。
まあ、それから、長い在宅医療がスタートしました。

時々このような模擬患者さんが混じっているのでは?
と、心のどこかで思いながら、診察しています。
マルサの女(?)とは、たいてい、自称「風邪」の人です。