《0216》 頑固なめまいと脳腫瘍 [未分類]

いつも、何かと訴えが多い患者さんが来られました。
一度診察室に入ると、10個ぐらい症状を言います。
なんだか「言わなきゃ損!」という感じです。

その日の訴えの中に、「めまい」がありました。
歩いて来たくらいなので、大したことはないようです。
しかし、翌日も、めまいの点滴をしに来られました。

そして、数日間、他の医師の診察のあと、
同じ点滴がされました。1週間後、点滴室に入ると、
その方が、また同じ点滴をしていました。

「大丈夫、大丈夫、安静にしていたら
もう治るから」と励ましました。

2週間目。さすがにオカシイと思い、頭のCTを撮りました。
小脳に立派な腫瘍が写っていました。
「エライものを見逃してしまった・・・」

正直に患者さんに、平謝りしました。
しかし、患者さんは「原因を見つけてくれてありがとう」と
言ってくれたので胸をなでおろしました。

脳外科に紹介し、手術をしてもらいました。
幸運なことに、良性の小脳腫瘍でした。
無事退院した患者さんは、とても喜んで挨拶に来られました。

1年後、今度は血尿が出ました。
よく膀胱炎を起こされる方なので、また「大したことない」と。
しかし、エコーを調べると、腎臓がんが見つかりました。

これは幸運にも早期発見で、手術で助かりました。
この2件で患者さんの信頼は、逆に厚くなりました。
それ以降も、相変わらずいろんな症状を訴えられます。
しかし、もはや私の「大丈夫!」では、納得されません。

現在、必要な検査を、上手いタイミングで行っています。
こんな書き方をすれば不謹慎かもしれませんが、
「多彩な訴えにも一理ある」と、つくづく思います。