《0217》 外れます。余命告知 [未分類]

「余命2カ月と宣告されたのに
7年経ってもまだ生きています!」
で、話が始まる陽気な患者さんが、
かつておられました。
ある抗がん剤が、劇的に効いたのです。

抗がん剤が、驚くほど効く患者さんが、
稀におられます。わたしは
「宝くじに当たったようなものだ」と言います。
医者も患者も、ビックリ。

ゴルフ場で、一緒に回った60歳代の人が
ボヤいていました。「医者に余命1年と言われて、
財産を全部使い切ったのに、まだ生きているので、
どうして暮していけばいいのかなー」

医者は余命告知をしますが、よく外れます。
私も、家族に余命1カ月と言ったのに、
1年生きた方がいました。
長い方に外れても、家族に怒られ(?)ました。

病院の研修医から「余命3年の末期がんです」
という患者さんを紹介され、
ビックリしたこともあります。
「余命3年って?3年後は、
私も生きているかどうか分からない」と。

その方は、ちょうど3年生きました。
だから、その研修医の予言が当たりました。
マグレでしょうか。
とはいえ、余命3年を「末期」とは言いません。

反対に、病院医師の告知と在宅での実際の余命が
大きく異なることも、報告されています。
病院の「余命3カ月」は、在宅では、平均1カ月です。

この事実は、病院のお医者さんに少しずつ
知られ、「修正」されつつあるようです。
このように、「余命」に関する誤診は数えきれません。

通常、末期がんの余命は患者さんに告知しません。
しつこく聞かれても、長めに大雑把な指標しか告げません。
「来年の桜はどうかな?」ぐらいです。

そのまま言えば、生きる希望が無くなるかもしれないし、
第一、当たらないだろうから。
ご家族には、心の準備のために、お話ししますが・・・

末期がんの余命の定義は、曖昧です。

生命保険会社は、余命6カ月。
健康保険では、余命3カ月。
在宅現場での平均在宅期間は、1.5カ月。

「私が言う余命は、話半分に聞いてくださいね」
と、前もって、ご家族に説明しています。
それくらい、よく、外れます。