《0218》 幻のポリープ [未分類]

毎日のように胃透視や注腸造影検査をしていると、
胃や大腸に「ポリープ」というものが見つかります。
いくら写真を眺めても、よく分からない時もありますが。

とりあえず「ポリープ疑い」と説明し、内視鏡検査を勧めます。
内視鏡でポリープがあれば、それでいい(?)のですが、
いくら探しても、何もない場合も時々あります。

ない方がいいのですが、「あるだろう」という前提で
検査を行いますから、ないと、何となく拍子抜けします。
患者さんへの説明も、どこか歯切れが悪いものとなります。

ところが、翌年のバリウム検査で、
また「ポリープ疑い」で引っかかる場合があります。
さて、また内視鏡検査を勧めるべきか、悩みます。

再度、内視鏡検査をすると、
果たしてポリープが見つかることも。
今度は喜んでいいのか、悲しむべきなのか?
患者さんには、また汗をかきながら、
歯切れの悪い説明をします。

バリウムと空気を使った検査は、所詮、影絵のような検査。
ですから、ポリープのようなものは、いくらでも誤診します。
胃なら空気の泡、大腸なら便のカスを、ポリープと誤るのです。

さらに、大腸内視鏡検査で悩ましいのは、年によって
「ポリープ」があったり、無かったりする場合です。
ポリープが、ヒダの後ろに隠れている場合があるのです。

腸のぜん動具合で、ヒダの裏の見え方には誤差が生じます。
極端な場合、昨日の検査で見えなかったものが、
今日の検査では、はっきり確認できることもあります。

また、大腸内視鏡検査は、入れて出しますが、
入る時に見えたものが、出る(抜く)時には見えないことすら
時たまあります。不思議な気分になります。

内視鏡検査は、臓器の隅々まで
すべてを検査しなくてはなりません。胃は大抵可能ですが、
大腸は、少しだけ?が付く場合があります。
これがバリウムや内視鏡で、
ポリープがあったりなかったりする理由です。

ポリープは良性なのでまだいい(?)のですが、
もしこれが、早期がんだったらどうでしょうか?
人が行う検査には、やはりその日の出来不出来、
さらに腕前があります。

消化器内視鏡医は、先輩医師に厳しいチェックを受け、
ポリープの誤診で沢山の恥をかきながら成長していきます。
私も数えきれない「幻のポリープ」を経験してきました。

どんな名人が行っても、ひとが行う検査には、
絶対という言葉はありません。

怪しい場合、納得できない場合は、患者さんに
率直に相談して、「再検査」させてもらいます。
大変な作業ですが、「再検査」で解決する場合も多くあります。