《0219》 「先生は神様です!」 [未分類]

テレビで、「逆流性食道炎」のCMが流れています。
自分から「逆流性食道炎だと思いますが」と言って
受診される方が、増えてきました。

しかし15年前は、まだあまり知られていない
病気でした。私は、この病気を学会で発表したり、
自分で研究していました。
この病気は命には直接影響しませんが、
生活の質の病気です。

ある日、1人の高齢女性が来院されました。
「喉にずっとエヘン虫が住み着いている!」
との訴えでした。私の所に来るまで、
20件ぐらいの医者巡りをしていました。

私は、自分の専門でしたので、すぐにそれだと分かりました。
プロトンポンプ・インヒビターというお薬を2週間分出しました。
翌日、彼女がまた来られました。

いきなり、私を拝みだしました。
「なんだ? なんだ? なんだ?」
「いや、先生は神様です!」

「あの薬を飲んだら、1時間で症状がスーッと消えました」
「この20年間は、いったい何だったんだろう?」
「なんで、何十件もの医者に行ったのに分からなかったのか?」

彼女は、20年来、しつこいエヘン虫に相当悩んで来たのです。
階段を下りる時、下を向くと胃から物が上がってくるので
階段を下りるのが怖くて困っていたそうです。

その日以来、彼女は、私の「信者」になりました。
開業間もないころなので、信者第一号でした。
たった一つのお薬が、大きな信用を与えてくれました。

15年経過した今も、超高齢の彼女は
驚くほど元気に通院されています。
お薬の多少の加減と、定期的な内視鏡検査を続けています。
信用は、今も揺らいでいません。

多くの前医の誤診が、図らずも私を名医に
祭り上げてくれました。
誤診をして頂いた関西の多くのお医者さんに、
思わず感謝しました。当時「逆流性食道炎」は、
それくらい認知度の低い病気だったのです。

あまり、誤診のことを続けて書くと、
患者さんが来なくなるので
少し自慢話を書いてみました。