《0223》 犯人は「ACTH単独欠損症」 [未分類]

「全身倦怠感」を訴えられる患者さんが、朝から晩まで続きます。
多くは、老化現象であったり、貧血であったり、うつであったり。
時々、慢性心不全や甲状腺機能低下症もみつかります。

そのどれでもなさそうな、患者さんが時々おられます。
進行がん、いや末期がんが隠れているかもしれません。
はてまた、慢性疲労症候群かもしれません。

開業医ですから、全部の検査を行う訳にもいきません。
病院に紹介しようにも、どこの科か大体のあたりはつけたいもの。
そこで頼りになるのが、いわゆる臨床医の「勘」です。

探偵のように、何か「匂う」のです。
最近、その「匂った」患者さんが2人いて、
2人とも「ACTH単独欠損症」であることが判明しました。

うち1人は、世界的にも大変珍しい病態でした。
脳下垂体の病気に関しては、今のところ、適中率100%!
2人とも、ホルモンの補充療法で症状は改善。

ホルモンの難しい検査は、病院の専門医でないとできません。
しかし問題は、上手くその専門医に紹介できるか、です。
もちろん、決断まで少し時間がかかることもあります。

珍しいホルモンの病気を見つける作業は、
砂浜で美しい石を見つける作業に似ています。

「その気」を持って、「勘」を頼りに、
毎日「探しもの」をしています。