《0224》 世界一進行の早い大腸がん [未分類]

大腸がんは、一般には、ゆるやかに進行するがんです。
「10年、20年もかかってできた病気なのですよ」と、
まるで見てきたかのように患者さんに説明しています。

1年前のバリウム検査でも、大腸内視鏡検査でも
異常がなかったのに、念のため1年後に再検したら
大きな大腸がんが出来ていた!

そんな馬鹿な。
でも、本当にあった話です。
見落としたのでしょうか?

慌てて、1年前の注腸造影写真と内視鏡写真を取り出して
今年のものと念入りに比較しました。
穴が空くほど、よーく見ました。

しかし、いくら見ても、どんなに見ても、
1年前のその場所には、何もないのです。
しかし、1年後には、しっかりと大きな進行がんがあったのです。

文献を調べてみると、報告されている中で
最も進行が早い大腸がんであることが分かりました。
「世界一進行の早い大腸がん」と題して学会発表もしました。

患者さんにとっては、嬉しいような悲しいような話です。
まあ、進行がんが早期発見され、命も助かったのだから
そう悪い話ではないはずですが。

通常、胃や大腸の検査は1年ごとにすることが多いようです。
誕生日ごとに受けるひともいます。
しかし、中には、このような進行の早いがんもあります。

おそらく、1年前にも、がんはあったのでしょう。
しかし、小さすぎて見えなかったのでしょう。
何度見ても内視鏡とバリウムの両方ともに、写っていない。

検査の間隔には、病気によって一定の基準があります。
しかし、定期的に受けてくれない患者さんのほうが多いのが現実。
そうなると、頼りになるのは、かかりつけ医の「勘」です。

「名医シリーズ」と自分で言いながら、
「勘」ばかり強調するのは、怪しいですか?
しかし、「勘」としか言いようのない場合が多いのです。