《0227》 理由は職場にあり [未分類]

毎日、「しんどい病」の方がこられます。
朝から晩まで、「しんどい、しんどい」を聞いています。
私も、「しんどく」なってきますが、それは言いません。

勤務医の時は、ビタミン剤を出したり、
点滴をしていました。
現在でもたまに行いますが、もうほとんどしなくなりました。

さて、この「しんどい病」こそが町医者の腕の見せどころです。
様々な、問診をします。
聞きすぎて患者さんが怒りだす位、根掘り葉ほり聞き込みます。

その患者さんが、朝起きてから寝るまで
何をどのようにしているのか、
家族関係がどうであるのか、詳しく聞き出します。
実は、それで多くの場合「しんどい病」の診断がつきます。

ピチピチの元気一杯の若くて美しい女性が、「しんどい」と
訴えて、診察室に入ってきました。
一見、何の悩みもなさそうな、明るく健康的な女性です。

しかし、もうこれだけで、ピンと来なければなりません。

病院の敷居は、若い人には、我々の想像以上に高いもの
何をされるか、いくら取られるか全く分からない非日常の場所。
「ボッタクリ・バー」より怖い場所に、彼女がやってきた理由は?

そう想像するだけで、半分、正解に近ずいています。
詳しく問診していくと、「しんどい病」の謎が解けていきます。
彼女は、不眠とダルさを訴えました。

案の定、彼女の時間外勤務は、月間、150時間を超えていました。
1カ月80時間を超えれば、どんな人間でも壊れます。
私は産業医であり、労働衛生コンサルタントでもあります。

そう、私の直感どうり、彼女は「軽いうつ」の始まりでした。
診断書を書いて、2週間の休養を指示しました。
少量の安定剤と睡眠剤を処方しました。

2週間後。別人のように元気な顔になった彼女が現れました。
元元、元気そうでしたが、さらに元気になっています。
彼女は、こうお礼を言いました。

「自分が働き過ぎているなんて、思いもしませんでした・・・」
そう、過重労働になっていることに肝腎の本人が気がついて
いないことが意外に多いのです。

町医者は、それを見抜くためにいます。
また、腰痛の原因が職場環境にあることもシバシバです。
病気の理由は、まさに「職場に訊け!」なのです。