《0247》 止められなかった自殺 [未分類]

年の瀬に、自分が犯した「ミス」を
思いつくまま書いています。
御批判は、そのまま受け止めたいと思います。
多くの失敗の実例の、ごく一部であると
受け止めてください。

医者になって26年。
おそらく万を超える単位の患者さんと接してきました。
その中で、自ら命を絶った患者さんが3人おられました。

軽度のうつ病で通院していたある患者さんは、
教科書に書いてある通り少し元気になり始めた時に、
残念ながら自殺されました。
御家族から聞いた時、言葉を失いました。

また、抗がん剤治療で苦しんでいた
ある患者さんは、前日に自殺を連想させる
メッセージを残されていました。
しかし、その時は気がつきませんでした。

もう一人、長引く難病を苦にされ、自殺された方がいました。
難しい検査を強要してきた自分自身の責任は重いと思いました。
まだ研修医でしたが、なんとかできなかったものか・・・

3人ともやはり、うつ状態にあったと考えられます。

年間自殺者が3万人といわれる現在、
自殺は、決して珍しくありません。
自殺は、みなさまの周囲でもあることでしょう。

しかし、自らが主治医を務める患者さんの自殺は、
それを止められなかった私は、自らの行為を振り返り
「医療ミス」だったと思います。本当に大失敗でした。

私は「自殺をさせないため」に、医者になったつもりです。
この場をお借りして告白しますが、
身内の自殺が、医師を目指した動機です。

それゆえ、私にとっての自殺とは「医療ミス」なのです。

自分の周囲で見聞きする「自殺」に接するたび、
やるせない気持ちになります。
自殺によって生じる遺族の「心の傷」も気になります。

死にそうな人は、案外死なず、
あまり死にそうも無い人が簡単に死んでいく・・・
少し元気になりかけた「軽いうつ病」が、一番危ないのです。

もちろん、自殺企図のある患者さんは、精神科に紹介します。
精神科医が嫌がる位、毎日、多数の紹介状を書いています。
また、当院にも非常勤の精神科医が診療しています。

産業医の立場、労働衛生コンサルタントの立場からも、
自殺者を出さないための活動を続けています。
現在、産業保健では、メンタル管理が最重要課題です。

今後も、自殺予防に関して、頑張りたいと思います。
最近は、薬剤師さんともっと連携できるのでは?
と、考え始めたところです。

《PS》 今日22日は、スワンスワンで、
  今年最後の「禁煙の日」です。
  禁煙補助薬のチャンピックスも再供給されます。