《0252》 ミスした時に、謝るべきか否か [未分類]

昔、「もし医療ミスをしても謝ってはならない」と教えられました。
「アメリカでは、謝る=ミスを認める=ことは裁判に負ける」。
しかし、最近「まず正直に謝るべきだ」に、変わりつつあります。

「医療ミス」があった時、人間の一番の欲求は
「まず真実を知りたい」です。
これは、いろいろな犯罪の裁判でも、よく聞かれる言葉です。

実は、私の身内が、かなり昔、外科手術で思わぬ
「医療ミス」をされたことがありました。
外科部長は「申し訳ないことをした」と私に土下座して謝りました。

そして、どうしてそのような「ミス」に至ったのか、
正直に全部話してくれました。
私は謝罪や土下座が無くても、訴えるつもりはありませんでした。

謝罪が無ければ、文句のひとつ位は言ったかもしれません。
しかし「その説明と謝罪」で、彼に「好意」までも抱きました。
「御苦労さまでした」と心からお礼も言いました。

「彼がわざとやったことではない」と、私は納得していました。
私自身も、時にその外科部長と同じようなことをやっています。
もっとも、当の身内は、今でも100%納得していませんが。

たとえ、若い研修医が、技術が未熟でやらかした失敗であっても、
それ以上、真実をほじくり返そうとは、全く思いませんでした。
後遺症は残っても、死亡事故ではなかったからかもしれません。

私自身も、これまで「医療ミス」みたいなことを言われて、
当人として管理者として謝ったことは、何度もあります。
「偶発症」かどうか微妙なことであっても、怒りにはまず謝罪。

中には、謝る必要性がどう考えてもゼロであるクレームも。
もちろん、そのような時は、一切謝りません。
「どうぞ、どこにでも電話して通報してください」と。

しかし、大半は、たとえ不可抗力と思えども、
少しは私自身に、その「因果」があると感じる場合でした。
私は幸いに、人から訴えられたことは、一度もありません。

患者さんが謝ることは、あまり聞きません。
謝るのは、常に医療者。
やはり医療はサービス業なのでしょうか?

まあ、お礼を言われるのも、医療者ですが。