《0258》 キーワードは「志」と「連携」 [未分類]

私が取り組む病気は、「がん」と「認知症」。
そして、キーワードは、「志」と「連携」です。

今年も「連携」の仕事で走り回ることになります。
サッカーや野球の「連携プレー」を想像してください。
いくら優秀な選手がいても、「連携」が出来なければ、絶対に
試合に勝つことはできません。

患者さんには、分かりにくいかもしれませんが、
「病院と診療所の連携」が、ますます重要視されています。
病院だけ、診療所だけで、医療は完結しないからです。

そして、その病院も変わりつつあります。
高度急性期病院と慢性期病院。
高度急性期病院は、統合・集約化の方向にあります。

一方、慢性期病院は、地域密着、入院期間短縮、在宅療養支援と
いった方向に舵を切っています。
人工呼吸器など高度医療を担う慢性期病院も増えてきました。

一方、地域の診療所も2分化されつつあります。
専門クリニックと、かかりつけクリニック。

後者はいわゆる「かかりつけ医」で、往診も行う。
がんや難病の患者さんは、これから、3人の主治医が必要です。
専門病院、地域の慢性期病院、そしてかかりつけ医(在宅医)の、3人です。

複数の医師が一緒に診ることを「併診」と言います。
そのようなことを書いた本『「連携」で医療は劇的に変わる』も出版しました。

とにかく、「併診」が普通になる時代が来ました。
とはいえ、病院の文化と、開業医の文化には少し温度差があります。

慢性期病院と在宅医との間にも想像以上の壁があります。
その壁をとっぱらい、上手く「連携」することが、患者さんの利益になります。
お金はかかりません。

尼崎市医師会では、昨年、「尼医ネット」という連携冊子を作成し、
現在それを発展させるべく議論を重ねています。
日本中で、そのような「新しい連携」が模索されています。

もう一つのキーワードは、「志」です。
以前にも書きましたが、江戸末期から明治を駆け抜けた医師、
関寛斎に関する本を現在執筆中です。

彼の生き様からうかがえる医療の「志」を、医者が学ぶことで、
医療は格段によくなる、と本気で考えています。
医療再生は、お金の問題ではありません。

今年も「志」や「連携」について時々書くつもりです。
抽象的かもしれませんが、医療者には重要な課題です。
患者さんにも、ぜひ知っていただきたいところだからです。