《0261》 植え込み型除細動器(ICD) [未分類]

先日、テニスの試合中に心肺停止された方が来院されました。
仲間が、心臓マッサージやAEDを施し救急隊にバトンタッチ。
病院での手当もよく、一命を取り留めました。

心室細動に至る致死性不整脈が、心肺停止の原因でした。
心肺停止とは、早い話いったん死んでいたのです。
それが、仲間と現代医療のお陰で生き返った。

その方には、「植え込み型除細動器(ICD)」が埋め込まれました。
ペースメーカーに少し似た高価な器械(保険がききます)です。
致死性不整脈を感知すると、「電気ショック」が作動します。

昔、心臓が止まった方に電気ショックを与えたことがよくありました。
「ドカン」と呼ばれるように、本当にドカンという衝撃があります。

生きている人に「ドカン」のボタンを押したことは一度もありません。
しかし、ICDは危機を感じると自動的に「ドカン」が作動します。

その方は、その後、テニスをしている時に2度作動したそうです。
生きているのに「ドカン」ですから、やはり相当な衝撃だったそうです。

前のボールを拾いにダッシュした時に、ドカン。
激しいラリーの最中にも、ドカン。
どうもその方は、心拍数が上がった時に、致死性不整脈が出るようです。

市民マラソンなどでは、ゴール後のクールダウン中にも心臓の
トラブルが起きて、AEDを使うことがあります。
自律神経のスイッチの入れ替わる瞬間が危ないのでしょうか。

その方は、今も激しいテニスを続けられています。
まあ、器械が入っているから、死ぬことはないでしょう。
「ドカン」の衝撃は、これからもあるかもしれませんが。

ICDは、ペースメーカーより、携帯電話の電波に敏感です。
一見すごく元気に見えてもICDが入っている人がいるのです。
ちなみにICDが入ると、身体障害者1級になるそうです。

ところで、その方は病院に着くまでの何十分か「死んで」いました。
「臨死体験」は、どうだったのか、訊いてみました。
やはり、七色(金色?)に光る三途の川が確かに見えたそうです。

実は、その方のインフルエンザ予防接種の問診の中で、
こんな会話を交わしていました。
私自身が大いに参考になる話でした。
それにしても、幸運な方です。