《0264》 震災前日のお寺巡り [未分類]

この週末、近所の神社は、「えべっさん」で大賑わいです。

不況からの脱出を祈る国民全体の声が聞こえてくるようです。

しかしこの季節になると、16年前のあの日を思い出します。

 

平成7年1月17日、阪神大震災の日。

 

昨年末に「震災が教えてくれた町医者力」という本が出ました。

そう、私は震災の年に尼崎で開業し、「町医者」になりました。

今日から暫く、阪神大震災の思い出話を書かせて頂きます。

 

1月17日は、月曜日でした。

前日の日曜日、私は家族で阪神間のお寺巡りをしていました。

当時、阪急六甲に住んでいたので、近場ドライブを楽しみました。

 

私は、小さいころから西宮市にある「甲山」を見ながら育ちました。

六甲山が有名ですが甲山(かぶとやま)は、300mほどの山です。

小学生の頃は、毎日のように、頂上まで登って遊んでいました。

 

前日、1月16日は、その甲山を囲む3つの神社・寺に参拝しました。

「越木岩神社」、「鷲林寺」、「神呪寺」の3つ。

なぜ、その3つの神社・寺だったのかは、自分でもよく分かりません。

 

ただ、後で調べると「鷲林寺」と「神呪寺」は、

尊敬する空海さんとゆかりのあるお寺でした。

そのお陰でしょうか。あの時死ななかったので、今がある、と思います。

 

覚えているのは、神呪寺の境内から、阪神間を見渡した時の景色。

快晴に恵まれ、高台から大阪のビルまでハッキリ見通せました。

とにかく、スガスガしい気分で帰宅し、寝ました。

 

そして、翌朝、午前5時46分。

私は、「悪夢」だと思いました。

目が覚めて、地震だと気がつくのに、10秒位かかったでしょうか。

 

築30年の古いマンションの部屋は、「長方形」が「菱形」に

なりながら、激しく揺らされました。ガタガタガタガタ・・・

「このままではこの菱形が潰れて、死ぬ!」と、直感しました。

 

揺られながら、「人はこうして死ぬのだー」とも思いました。

マンション全体がペチャンコになるイメージがはっきり見えました。

咄嗟に「何とか、まずこの部屋から脱出しよう」と考えました。(続く)