《0290》 認知症の方の幻覚が増える季節 [未分類]

あるお宅を訪問すると、おばあちゃんが泣いていました。
認知症のおじいちゃんが、
「かあちゃんがいなくなった」と大騒ぎしているとのこと。

「私はここにいるのに……。ついに妻も分からなくなった」
と、嘆いておられました。

また、あるお宅では、幻聴が出た認知症患者さんもおられます。
また、女の人や動物が見えると言い出した患者さんもおられます。
さらに、ある外来患者さんは、電気がオレンジ色に光って
枠が飛び出して見える、と訴えました。

行く先々で、異口同音に「幻覚」もどきの訴えを聞かされます。
寒さと短い日照時間は、人間の感覚を狂わせるようです。

医学的には、「認知症の周辺症状が出現」と言いますが、
要するに、「幻覚」もどきが出やすい時期のようです。

私自身も、先週うっかり忘れ物をしました。
どこかボーっとしている感じです。
認知機能は、夏より落ちているような気がします。

普段とてもしっかりしている人でも、トンチンカンなことを言います。
以前書きましたが、「夏型の人」は、特にこの季節は要注意です。

認知症の人が、勝手に外出して遠くで保護されるのもこの季節です。
ご家族には「心配ないですよ。春には治りますからね」と説明します。

実際、毎年、春になると幻覚症状はグッと減ります。
日照時間とともに認知機能は少し戻ります。

北欧ではこの季節は、うつ病が増えるそうです。
日本でもうつの患者さんは、病状が悪化する人が増えます。
私自身もこの季節は、気分はどこかブルーになります。

早く2月が終わってくれないかなあ……。
まだ始まったばかりなのに、ため息をついています。
昨夜は巻きずしを丸かぶりして、無理やり元気を出しました。