《0297》 アルコール依存症の治療(その4) [未分類]

本人の意志とお薬で、何とか最初の1カ月間を乗り切ったとしましょう。
ここまで来れば、まず成功です。

治療が難しい「依存症」を克服できれば、町医者として大きな喜びです。
ニコチン依存症も、アルコール依存症も、最初の1カ月が勝負です。

いわゆる禁断症状(離脱症状)の期間を乗り越えることができるか。
ここを越えるために、いろんなお薬に「助けて」もらうわけです。

ここまで来れば、通院間隔は徐々に延ばしていきます。
最初の2週間は毎日だったのが、隔日になり、週1回になります。
もちろん油断は禁物です。

特に、酒の席は控えてもらいます。
ご家族の協力も不可欠です。
いい家族かと思いきや、酒を買いに行き、与える母親もいました。

もっとも、酒を買いに行かないと、本人が暴れるからですが。
これはアルコール依存症の方によく見られる光景です。

医者も、アルコール依存症には、ついつい寛容になりがちです。
しかし悲惨な結末を沢山経験すれば、何とか介入したいもの。

アルコール依存症の多くは、うつ病など精神疾患を合併します。
必ず肝臓も悪いので、肝臓病の診断治療も必要です。
C型肝炎や肝臓がんを合併している場合もあります。

多くは、ビタミン欠乏症も合併しています。
「ウエルニッケ脳症」はあまりにも有名です。
ビタミン剤の点滴で改善します。

アルコール依存症専門の医療機関のない地区も沢山あります。
私の周囲にも、専門機関がありません。
ですから、内科医と精神科医との連携が大切だと思っています。

病気を克服したい意志のある人を、たとえ1人でも、お酒から救う
お手伝いをしたい。
そんな想いで、依存症の方と毎日、面談しています。